そして、最大の難関は、スペースのせまさです。舞台の広さは通常の半分程度で、奥行きは2メートルしかありません。はみ出せば、今回の演出の目玉である光とのコラボレーションが崩れるとあって責任重大です。

大蛇のリーダーを務める下岡さんは、神楽歴30年以上のベテランというだけでなく、子ども神楽団の指導をするなど、神楽文化を広めるべく奮闘しています。

下岡佑也 さん
「神楽という魅力をお伝えできるように、1つの神楽をやるメンバーとのことを思いながら、いいものが伝えていけるようにがんばりたいと思います」

サミットの2週間前、下岡さんは、夜神楽の公演会場で裏方として走り回っていました。若手の仲間と作る「NEXTひろしま神楽」の一員として神楽の魅力を発信しています。

新型コロナで公演数が激減したときにもYouTubeなどを使って見てもらうチャンスを作り続けてきました。

下岡佑也 さん
「『神楽といえば広島だよね』と言っていただけるように続けていきたい」

この日もその一環で神楽の衣装の着付け体験を実施していました。

海外からの観光客
「とても重いけど、とても美しい。代表的な日本や歴史をたくさん感じることができて、見ることができてよかった」

下岡佑也 さん
「衣装がどれだけ重かったりっていうのを体験してもらうことで、より神楽を見るのが楽しくなるんじゃないかと思って」

練習過程の舞いと光の演出を合成した映像があります。光との兼ね合いだけでなく、鑑賞する首脳たちに大蛇のしっぽが当たってしまってはたいへんです。

ダイナミックに動きつつも、せまい舞台に収まるように最終練習でも修正を繰り返します。▽息を合わせて、▽黒子なしで、▽せまい舞台をフルに使って…。多くの課題に向き合って練習をやり切ったメンバーには一体感が生まれていました。

上野将 さん
「しんどいですよね、きょう、3回目なので、疲れはたまっていますけど、やるごとにみなさん、技量も高まっていますし、気持ちは1つになっているんじゃないかなと」

赤い大蛇の下岡さんも意気込み十分です。

下岡佑也 さん
「本当、今までやってきたことをもう全力でするだけかなと思いますし、見ていただいたら、すごく、この神楽の魅力は伝わるかなと思って、自信を持ってやりたいと思います」

いよいよ、本番当日―。厳戒警備態勢のもと、会場入りしたメンバーはみんな、慣れないスーツ姿に硬い表情でした。