
1945年8月6日に投下された原子爆弾に耐えたソメイヨシノです。広島市役所の建て替えのため一時的に移転しましたが、現在も3本の被爆桜が植えられていて、ことしも桜の季節に花を咲かせていました。
樹木医 堀口力 さん
「(爆心地から)1.2キロくらいの場所なんですが、それを接いだんですけど」

土台となるオオシマザクラの苗木に被爆桜の枝を接ぎ木したものです。ふつうの木は、7割から8割は新たな芽が出るそうですが…
堀口力 さん
「この被爆樹木については半分を切りますね。4割くらいかな。3割から4割程度しか次の芽が出てきません」
去年の10月にサミットの関係者が訪れて、被爆樹木の植樹を相談され、堀口さんから桜を提案したそうです。

堀口力 さん
「桜については日本人として戦争中はいろいろと戦争と結びついてというイメージもありますけれども、やはり今からは桜の花が咲いた平和といいますか、それを発信するにはやっぱり日本を代表する花の1つですね」
樹木医の堀口さんは、「原爆を耐えて生き残った木だから、植樹した木も強いはずで、首脳にもそのことを知ってほしい」と話します。

樹木医 堀口力 さん
「ウクライナの戦争の映像を見ても、非常に悲惨な状態ですよね。やはり緑がある程度、茂る場所というのは、その状態だけでも平和というか。そのうえに桜の花が咲いてくれれば、それ以上のものはないとそんな感じがしますけどね」

そして、サミット初日―。平和公園を訪れて、原爆慰霊碑に献花を終えた首脳たちは、そのまま平和公園西側の植樹スペースへ。真っ直ぐに伸びた被爆桜に、首脳が代わる代わる土を入れていきました。

堀口さんは、10メートルほど離れた場所でその様子を見守りました。
樹木医 堀口力 さん
「77年間、平和を見続けた被爆樹木が植えられるということは、非常に意味のある感動的な状況でしたですね。これを契機に世界が平和な状態を作ってもらうのを団結してやってもらいたいっていう感じですね」