「まだ埋もれている場所がある。掘り出してあげてほしい」似島では今も被爆者の遺骨が見つかる

嘉陽礼文さんは、2014年から似島で遺骨や遺品の発掘調査に取り組んでいます。2014年に別の場所で行った調査では、当時のボタンや小銭、キセルが見つかりました。

嘉陽礼文 さん(2014年)
「いかに多くの人がここで苦しんで亡くなったのかを、世の中に認識してもらいたいというのが1番大きな気持ちですね」

調査を続ける姿を見た住民が、嘉陽さんに「まだ埋もれている場所がある。掘り出してあげてほしい」と依頼したといいます。数年かけて資金を貯め、2018年の春、地元住民と一緒に遺骨の発掘調査に取りかかりました。重機も入れた本格的な調査で、およそ1週間で100個以上の骨片が見つかりました。

嘉陽さんはその後も、まだ見つけ切れていない被爆者の遺骨を探すため時間を見つけては島に渡り作業を続けています。そして、今月12日にも指先ほどの小さな骨片が見つかりました。

遺骨を手にした嘉陽さんは、無念そうに話します。

嘉陽礼文 さん
「もうすぐ78年ですか…。ずっと土の中にいらっしゃって、悲しい思いをずっとされてきたと思うんですよ。申し訳ありませんという気持ちでいっぱいです。戦争終わってないと思いますね、原爆も終わってないし、戦争も終わっていないんだなって遺骨を見たら思いますね」

この日の調査では新たに4つの骨片を見つけることができました。「埋もれたままの遺骨はまだある」―。嘉陽さんは、これからも調査を続けます。

5月には、似島から見える場所でG7の首脳が核軍縮について議論をします。今もなお、土の中に残された被爆者の声なき声を、各国首脳は受け止めなければいけません。