G7広島サミットの主な会場となるホテルから各国の首脳たちも見ることになるであろう「島の歴史」に注目します。原爆投下直後に、多くの傷ついた被爆者が運ばれ、亡くなった似島(にのしま)です。島では、今も被爆者の遺骨が見つかっています。
G7広島サミットの開催を前に4日、警備のトップを務める警察庁長官が視察に訪れました。会議場の可能性がある部屋から見える島があります。G7の首脳たちが目にするであろうその島は、広島市街地の沖に浮かぶ似島です。

「あそこが現場になります。ご遺体が埋められているという場所です」―。12日、似島へと向かうフェリーに、県内の大学に勤める 嘉陽礼文 さん(44)の姿がありました。似島には原爆投下後から多くの被爆者が運ばれ亡くなりました。似島で埋葬された遺体は戦後、多くが掘り起こされましたが、嘉陽さんは個人的な活動として、今も埋もれたままになっている被爆者の遺骨を探しています。
似島には戦前、陸軍の検疫所が設けられ、戦地から帰還した兵士が伝染病にかかっていないか調べたり、消毒したりしていました。検疫所には医療器具もあるため、広島に原爆が投下されたあと、臨時の野戦病院となり、負傷者が次々と船で運ばれてきました。その数は1万人ともいわれています。

「検疫所のどの部屋もけがした人が寝とったんよ」―。戦前から似島に住む冨士井和子さん(92)は、当時をこう振り返ります。