(2020年取材)
母 美鈴さん
「ごめんね。綾ちゃん、ミルク飲まんといけん。ちょっとごめんね」
気管切開で、口から食事ができない綾香さんのために、美鈴さんは鼻からチューブを入れて栄養を送り届けます。

チューブを引き抜こうとする綾香さんの動きを、全身を使って防ぎます。人工肛門から出た便をためる「パウチ」も気になって外そうとします。
母 美鈴さん
「パウチの袋を破って全部うんちが垂れ流しで、全部うんちまみれになることはしょっちゅうあります。綾香が生まれて1回の睡眠に3時間以上寝たことは、主人が交代してくれる週末以外ないです」

肛門が閉じた状態で生まれた綾香さんは、すぐに人工肛門の手術を受けました。自力での呼吸が難しいため、気管を切開し、のどから呼吸をしています。起き上がることはできず、重度の知的障害のため、言葉を交わすことはありません。

(3月取材)
母 美鈴さん
「重症児ですって告げられて初めて我が子と対面したときは、元気に産んでやれなかった自分を本当に責めました。私の人生は24時間365日、介護で人生が終わるんだって。何の楽しみもないんだって」
入院のたび、病室に泊まり込みで続く介護。1晩に100回を超えるたんの吸引。眠れない日々に体力は限界でした。

~美鈴さんのインスタグラムより~
「いちばん頑張ってるのは娘なのに。1日だけ寝させて! このままじゃあ、私過労死する! 娘を抱いて泣きながら病院にお願いした事もありました」