2011年の東日本大震災と同規模の巨大地震が発生し、ライフラインが寸断されたら、あなたはどう対処しますか?生活に欠かせない「トイレ」が使えなくなる事態は想像を絶する困難をもたらします。そして、避難所での劣悪なトイレ環境は、衛生面だけでなく、人々の尊厳も脅かします。

平和公園に隠された「マンホールトイレ」の謎

こうした状況下で注目されるのが、「トイレ専用のマンホール」です。震災の教訓から生まれたこのシステムは、その場での組み立てが可能で、衛生環境を保つ重要な役割を果たします。

末川徹 気象予報士
「原爆資料館の東側にある遊歩道。ジョギングコースにもなっているが、マンホールがズラリと並んでいる。いざという時は、非常用のトイレになる」

広島市の平和公園には20基のマンホールトイレが整備されています。どこにでもあるような見た目ですが、サイズを測ってみると、かなり小さいことが分かります。

災害時には、マンホールの上に簡易的な便座やパネルを設けます。地下には、専用の下水道管が埋まっていて、貯水タンクの水で排せつ物を流す仕組みです。

広島市は、このほか、サッカースタジアムがある中央公園など人が多く集まる場所にマンホールトイレを配置してきました。学校や公共施設を含めると、その数は、およそ240基にのぼります。

これまで訓練以外で使用した機会はありませんが市は万が一に備え、さらに数を増やす方針です。