広島・尾道にUターンして家業の青果店を継いだ男性が、SNSを駆使して奮闘しています。そんな中で活路を見出してくれたのは、遠く離れた青森県の特産品リンゴを使った商品でした。

青森県の果樹園でつややかに実るリンゴ。生産量日本一を誇るこの地で生まれた「ある商品」が、広島でも密かな人気を集めています。

創業72年目を迎えた尾道市の青果店「福直フルーツ」です。

店内に並ぶのは、世羅産のナシや岡山県産のシャインマスカットなど、旬な果物の数々。年間およそ100品種、等級が高いものを取り扱っています。

仕入れた果物を検品しているのは、3代目の福岡 哲さん(44)です。ことし4月、家業の店を継ぐため、Uターンしました。

福直フルーツ 福岡 哲さん
「昔とは違うなというのがあって、にぎわいが戻ってくれればいいなと思って、個人店だからこそやれることっていうのを考えて、もがいています」

大学に進学してからは実家を離れ、エンジニアの仕事をしていた福岡さん。店で働き始めて間もなくして、観光地・尾道のにぎわいとは裏腹な現状に「不安」を感じたと言います。

福岡 哲さん
「尾道って、この辺、おしゃれなカフェとか人気店っていっぱいあるんですよ。観光客の方はみなさん、そこに行って人通りもすごかったんですよ。お祭りみたいな感じで。うちだけ、閑散としていて、さびしくて」

まずは店を知ってもらうため、始めたのが、SNSでした。

仕入れた果物の写真に豆知識などを添えて投稿。

深夜、市場に出向く際の写真は、毎日欠かさず同じ場所で撮影する徹底ぶりです。

そして、尾道ならではの情報も…

近所の人たちで協力して地域に住むネコを守る活動です。福岡さんは、Uターンしてから参加しました。

こちらは、そのネコ。名前は「にゃにゃこ」です。もちろん、この取り組みも「こまめに発信」しています。

福直フルーツ 福岡 哲さん
「個人の店で果物屋さんって、なかなか足を踏み入れられないじゃないですか。(特に)一見の人が。『そうそう、いつも見ているこの景色』という感じで(SNSを)やりだしたんです」
入りやすい店にしようと、自らの手で改修工事も始めた矢先、福岡さんにとっては昔からなじみのある商品に目がとまりました。それが、「リンゴジュース」です。