普天間基地の辺野古移設をめぐり、政府が大浦湾側の工事に着手してから10日で1か月となります。県と政府の対立が続くなか進められる移設工事を振り返ります。
名護市、辺野古。移設に向けた工事が進む現場では2月8日も、埋め立てに使う土砂を積んだトラックがせわしなく行き交う様子が確認されました。

6日には辺野古側に近い、K5と呼ばれる新たな護岸の工事も始まるなど、沖縄防衛局は着々と工事を進めています。
岸田総理(先月)
「普天間飛行場の1日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます」

“1日も早い”普天間基地の危険性除去のため「辺野古」が唯一の解決策だとする政府。
一方、およそ7割が反対に投じた、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票など、県民の民意を背景に沖縄県は司法に訴えてきました。
しかし国が代執行に向けて起こした裁判で福岡高裁は去年12月、「工事を承認しないのは違法で著しく公益を害する」などとした国の訴えを認め、工事を承認するよう県に命じました。

これを受けて、国は県に代わって大浦湾側の工事を承認。先月10日から軟弱地盤が見つかっている大浦湾側の工事が始まりました。
玉城知事(1月31日)
「岸田総理におかれては、民主主義の手続きによって行われた県知事選挙、それから県民投票など繰り返し反対の意思を示している県民の民意をですね、真摯に受け止めていただいて、基地の建設工事については直ちに中断をしていただいた上での、検討の対応による根本的な解決策についての協議をぜひ行っていただきたい」
工事が進められる中、工事の承認を命じた福岡高裁の判決を不服として県が上告。先月19日には福岡高裁の「公益性の判断は誤りだ」などとした上告理由書を最高裁に提出しています。

一方、最高裁で県が逆転勝訴するまで工事が止まることはありません。
工事をめぐっては、生態系の宝庫である大浦湾の環境保全をはじめ、工期や予算の問題に政府がどう向き合っていくか不透明なままです。
課題は山積したまま大浦湾の工事着手から、もうすぐ1か月を迎えようとしています。