自衛隊配備に反対して行動を起こす住民は、節子さんだけではありません。工事現場の近くでマンゴー農園を営む金城龍太郎さん。金城さんらが、自衛隊配備の賛否を問う住民投票の実施などを求めて、市を相手に起こした裁判は、今も続いています。

住民投票を求める会 金城龍太郎代表(31)
「4割近い有権者が住民投票自体はやるべきだと署名で示してくれたので、この場所で本当に建設的にベストなのかとか、防衛的にベストなのかという、僕らが発信していくことでまた考えてもらうきっかけになってくれればなと思います。」

住民の中でも賛否が分かれる自衛隊配備計画ですが、住民投票が実施されていないことで、その実態は明らかになっていません。こうした住民の声をよそに、建設工事は今も着々と進んでいます。

命と暮らしを守るオバーたちの会 山里節子さん(84)
「自分の島が無残な姿にされていくというのは、自分の生身が引き裂かれる思いだからね、本当に見たくないです。」

節子さんは自身の感情を、八重山民謡の「トゥバラーマ」にのせて、こう表現します。

命と暮らしを守るオバーたちの会 山里節子さん(84)
「♪あたらばがーしまゆ すくっちゃあし してぃるんでな(大事な私たちの島を 破壊するというのか)」
自分たちが生きている限り、自衛隊のなにがしかの物が存在する限り、戦い続けていきます。

「♪ばなーゆるさるぬ(私は絶対に許さない)」

ふるさとのメロディーにのせた思い。それをかき消すかのように、重機の騒音を響かせて、工事は続いています。



【記者MEMO】
自然豊かな石垣島への陸上自衛隊配備は、住民の中でも賛否が分かれていますが、節子さんのような戦争体験者の話を聞くと、悲惨な歴史を繰り返してはいけないと改めて考えさせられます。オバーたちの会はこれからも各地で抗議活動を続けていくということです。