非常に強い勢力で沖縄地方を暴風に巻き込んだ台風6号は、県民の生活に甚大な被害をもたらしました。特に今回の台風で特徴的だったのが高潮による被害です。

歩道で見つかったまさかの生物

これは、3日の正午ごろ与那原町板良敷にの海沿いにある道路で撮影された写真。写っているのは、歩道の植え込みに海藻とともに横たわるウミガメです。暴風域を抜けたあとに、与那原町に住む金城結奈さん(9)が家族と見つけました。

見つけたときには、すでにウミガメは死んだ状態。金城結奈さんは「悲しいけれどウミガメは死んでいた。臭いは全くせず、生きているかのようだった」と話していました。

産卵時期にあたる8月は、浅瀬に出没するケースが多いウミガメ。しかし、このウミガメが発見されたのは砂浜ではなく、海岸からおよそ10メートル離れた場所にある歩道で、出産のために上陸したわけではありません。

台風の影響で、海水が道路に流れ込んでいたことが確認されていて、高潮によってウミガメが道路に打ち上げられ、海に戻れなくなったと見られています。

なぜここまでの高潮となったのか。沖縄気象台によると、台風の接近と大潮の時期が重なったことが原因だといいます。8月1日には沖縄本島の東海岸で過去最高潮位を上回り、南城市で潮位が2メートル26センチまで上昇したことが観測されています。

暴風の被害が多い沖縄、高潮による甚大な被害の可能性も

年平均で7.7個、全国のおよそ2倍の台風が接近するなど、台風銀座ともよばれる沖縄地方ですが、これまでは高潮や高波による被害よりも、暴風による被害が多く確認されてきました。

しかし、過去に日本を襲来した台風では高潮によって甚大な被害が発生しています。

1959年の伊勢湾台風では、伊勢湾周辺地域、特に湾奥部の名古屋市を中心に死者・行方不明者5012人、7万7574戸が全壊もしくは半壊に。2004年に発生した台風16号では、香川県高松市で潮位が護岸をおよそ70cmほど上回り、1万5651戸の浸水が発生、2人が死亡しています。

今回の台風6号では、県内で発生した驚くような被害映像や画像がRBCに寄せられました。

海岸沿いを走っていた車が波に襲われ、フロントガラスが大破する様子や、家屋が打ち寄せる高波を浴びる姿が確認されたほか、海水が道路一面を埋め尽くし、現在まで6日間に渡り国道が通行止めになるなどの被害が出ています。

沖縄地方は台風が発達しながら接近するため、勢力が強くなるケースが多く、今回のように大潮などが重なった場合、強風だけでなく、高潮による大きな被害が発生する可能性があります。

改めて災害の恐ろしさを肝に銘じ、事前の対策や命を守る行動を取ることが必要です。