米軍による被害者の治療 資料に記された『したたかな意図』

事故の記憶を語り継ごうと聴き取りを続ける『石川・宮森630会』。聴き取りと合わせてアメリカ軍の資料の収集を行っていて、去年翻訳した資料には、被害者のためではなく、アメリカへの批判を最小限にとどめようとする、したたかな意図が見え隠れします。
(資料に書かれていた文章)
「琉球におけるアメリカの立場と利益のために、患者の継続的治療を必要に応じて陸軍病院が提供できるようにしてもらう」

また、被害者の賠償を巡る文書には、墜落事故を交通事故と同列に扱い、事故を矮小化しようとする記述もみられます。
(資料に書かれていた文章)
「不慮の事故死は有史以来全く普通に起きている出来事だ。石川の悲劇は何も真新しい要素があるわけではない」
伊波則雄さん(85)
「何か分からない状態でガソリン被って、火だるまになって、ああいう状態になっている。それをね、この事故と同じように捉えてはね、大きな問題ですよ。これは、もう亡くなった子たちにとっては何とも言えないですね。本当に魂があったら、魂たちで、何か叫んでほしいくらいの気持ちがありますね」
犠牲者を悼み、事故が繰り返されぬようにと、作品を描いた伊波さん。沖縄の日本復帰後も続く、アメリカ軍機の事故や落下物について、問題の本質は同じだと話します。
伊波則雄さん(85)
「ジェット機が落ちるのは元々ありうるかもしれないけども、そういうヘリのドアが落ちたり、水筒が落ちること自体が元々異例じゃないかなと思うけどね。落としてはならないものを、学校周辺でそういうもの落とすこと自体問題だしね。あの問題もジェット機も、墜落も、宮森の事故も、これは全く等しく問題として取り上げていくべきだと思う」