態度が急変したヤミ金業者 恐喝は職場や家族にも 

返済で悩み続けた安里さんはことし3月、知り合いの勧めで警察に相談に行くことを決意。そこで警察官が安里さんの携帯電話からヤミ金に連絡を入れたところー

安里さん(仮名)「警察が私の携帯から普通にコールしたんですねヤミ業者に。『警察署からです。あなた法律違反ですよ』って言って。捕まったら罰金で実刑ですよって言った瞬間、ブチって切られて」

被害者は借り入れの証明などを持っていないことがほとんどで、貸金業法や刑法に反する行為が確認できなければ警察は動くことはできません。警察は相談を受けても業者側に『警告』を入れる対応に留まり、事件化が厳しいケースが多くあります。

安里さん(仮名)「LINEには『ふざけるな』とメッセージが入っていて。いつ家にくるか分からなくて日中もカーテンは開けられないし、ノックにも反応できず、出かけることも。自分は何されてもいいんですが、一番は息子、本当に息子」

安里さんが警察に相談に行った日から本人への脅しがエスカレート。初めに伝えてしまった家族に関する電話番号や職場、子どもの学校にまで、ヤミ金が執拗に電話をかける嫌がらせが始まりました。

この周囲への嫌がらせが安里さんの心を蝕みました。

安里さん(仮名)「不安になったら自己嫌悪に陥ったらリストカットも止まらない。子どもに何か危害があったら私死んでもいいって思っているくらいなので。本当に母親失格です。本当に」

ヤミ金に手を出してしまった際の正しい対応は 専門家に聞くと

寺田弁護士「ヤミ金に手を出してしまう人はどうしても家計の管理が上手くできなかったり、目先のお金が必要ということで、安易に飛びついてしまう方が多い。ヤミ金に手を出すと、その後いろいろ大変なことになるが、そのことが考えられなく、お金の借り入れで頭がいっぱいになってしまうと」

長年、多くのヤミ金被害者の相談を受けてきた寺田弁護士。県内でのヤミ金被害の根深さに向き合ってきました。スマホなど多様なツールが発達したことによって、ヤミ金業者の姿が見えにくい状況も生まれていると指摘します。

寺田弁護士「LINEだけでやり取りをしていて、電話番号すら分からない。直接会ってお金の受け渡しをしていないので顔も見たことがないというケースもある。電話番号が分かれば、そこから追いかけていったりするが、それが難しい状態になっていて、より一層相手がだれかというのが分からないくなっている傾向にある」

そもそもヤミ金業者は違法な貸金業者であり返済の義務はないものの、警察や弁護士らが介入して警告を出しても執拗に続くヤミ金の取り立てに債務者が屈してしまうケースも少なくないのが現状です。寺田弁護士は債務者も戦う姿勢が必要だと訴えます。

寺田弁護士「しつこく電話をかけてきて取り立てを続けてくるが、ヤミ金に“もう良い客じゃない”と思わせることが必要。そのためにはヤミ金との関係を断つ決意をしてもらい、粘り強く戦ってもらう。専門家と一緒に戦う姿勢が必要」