Q:ヘイト街宣がないことが、連続で続いているが慣れてくる?
赤さん「やっぱり慣れませんよ。正直いって。そういう場所にいく直前はキツいですね」
”いつヘイト街宣に出くわすかもしれない”という恐怖心です。赤さんは、いざとなればひとりで対応しなければならないプレッシャーと毎回、向き合ってきました。
赤さん「考えると溜息出ますね。俺じゃなくてもいいと思うんですけどね」
こうした中、県は去年12月、ヘイトスピーチを規制する条例の骨子案を作成して公開。県民の意見を募集する”パブリックコメント”を実施しました。
この骨子案に、赤さんが求めたのは―。
赤さん「(ヘイトスピーチの)該当性を審査する第三者機関。やっぱり必要ですね」

求めたのは、その言動がヘイトに当たるか等、専門的な知見をもって見極め、防止策を見出してくれる第三者機関=救済機関の拡充です。
赤さん「(県内には)非常に差別の問題に詳しい方はいると思っているので、その人たちに積極的に加わってもらって、ちゃんと動けるような体制づくりを求めたいと思っています」
救済機関を整えることの意義について、ヘイトスピーチの問題に詳しい白充弁護士は次のように指摘します。

白充弁護士「”被害実態が無いんじゃないか”という話も最近は少なくなったが、当初はありました。それは何故かというと県が把握しようとしていないというか、少なくとも把握するような機関がなかったところが前提としてある。目を置かずして、見えてませんと言われても、まず目を置きましたか?という問題があると思う」
事実、那覇市役所前では、市民が座り込みを始め、ことし5月で3年に。救済機関の設置は市民任せになっている現状を打開するスタートラインになりうるといいます。さらにー。
「あんまりはっきり読むと吐くから」「吐くよこれ。ひどいね」
座り込みと並行して、市民たちが行ってきたのがSNS上に溢れるヘイトスピーチの記録です。これまでは県に報告しても、事態の改善は見られませんでしたが―
白充弁護士「被害があった時にその救済機関が出来ると、情報と経験の蓄積、そしてそれを改善するための具体策がきちんといい方向へ回っていく。そういう役割を担っていくという所も議論する必要が出てくる」

機能する救済機関が設置されれば、防戦一方だった抗議行動=カウンターも、ヘイト被害の記録も、防止策の礎となるかもしれない。それは市民たちにとって希望です。
「仕組みがあれば、みんな声を上げやすくなると思うんですよね。ヘイトスピーチ、差別問題一般とかに対応できる窓口が欲しいというのは、歩いている限り切実な思いです」