少女暴行事件と基地問題への注目

村山氏が総理在任中の1995年には、沖縄で米兵による少女暴行事件が発生。この事件は当時日本社会に衝撃を与え、本土国民が沖縄の基地問題に注目するきっかけとなりました。村山氏は、来日した米国・ゴア副大統領に基地の整理縮小への理解を求めたといいます。

ゴア米国副大統領と会談した村山元総理

(村山元総理・2004年のインタビュー)
「(ゴア副大統領に対し)これは沖縄の基地だけではなくて、もう戦後50年も経って、なんでアメリカの軍事基地が必要なのかという疑念を国民は持っています、と。その疑念を持っている上に、沖縄のああいう事件が起こると、それはなおさらその感情的に激しいものがあるのは当然。そのことはよく理解してほしい(と伝えた)」

村山氏が退陣後、社会党が閣外協力として支えた橋本龍太郎政権で、普天間基地の返還が合意されました。当時、代替施設の建設を条件に、「5年から7年以内」とされた全面返還は今も実現していません。

2004年の取材当時は、全面返還の合意から8年のタイミング。まだ移設工事が始まっていなかった名護市辺野古の沿岸部を視察した村山氏は、新たな基地の建設に疑問を示していました。

普天間基地の移設予定地(名護市)を視察した村山元総理

(村山元総理・2004年のインタビュー)
「20世紀に2回も大きな戦争を経験し、ミサイルが開発され、どこにでも弾が飛んで行くような時代になって、もう戦争はできない。戦争はしちゃいけない。こういう感情が世界的に強くなってきていると思いますね」

「もう少しアジアに軸足を置いて、アジアとの協力関係をしっかり作っていく努力が必要ではないか。そういう構想に立って沖縄の問題を考えていく必要がある」


平和構築への展望を語っていた村山富市氏。沖縄に心を寄せた政治家でした。