自衛隊とアメリカ軍の大規模な共同演習が10日から始まりました。
演習では、アメリカ軍が初めて自衛隊の与那国駐屯地で訓練を行うことや民間施設である与那国空港の使用などが予定される中、その背景や狙いを考えます。


今月8日、沖縄市の中城湾港に姿を現した民間輸送船『はくおう』
船尾のハッチからは、トラックや偵察車など自衛隊車両が次々と降りていきます。
これらの車両は11月10日から始まった『日米共同統合演習』に伴い県外の自衛隊基地から運ばれたものです。

演習に反対する市民と警備に当たっていた機動隊員がもみ合いになる場面も。

日米共同統合演習『キーン・ソード』は、平時でも有事でもない状態いわゆる“グレーゾーン事態”から、日本が直接攻撃を受ける武力攻撃事態までを想定した大規模演習です。日米の即応態勢を確認して相互運用性の向上を目的としたもので、1985年からほぼ毎年実施されています。

今回の演習には、自衛隊からおよそ2万6000人、アメリカ軍から、およそ1万人が参加。


県内では、陸上自衛隊八重瀬分屯地などでの地対艦ミサイルの部隊展開訓練や沖大東島での実弾射撃訓練など自衛隊の各駐屯地のほか、アメリカ軍施設でも訓練が行われます。

アメリカ軍などによると与那国駐屯地では、自衛隊とアメリカ軍が初めて情報共有を行う連絡調整所の設置訓練が行われます。

また、与那国空港に、自衛隊の輸送機で105ミリ砲を搭載した最新鋭の戦闘車を運び込み、初めて公道を走らせることも計画されています。

与那国島の島民
「(訓練が)引き金になって向こう(他国)がまた動き出したら怖い」
「やった方がいい。その時にあわてるよりも」
「軍事関係が起きたらとすごい不安で、どうしようかと。沖縄本島に引っ越したほうが良いかなと」

民間施設を使用した訓練について浜田防衛大臣は…



浜田防衛大臣
「我が国の防衛上、多様な空港等からの運用は大変重要であり、日頃からそのための訓練を重ね、平素から柔軟に利用できることが必要であります。例えば輸送手段が船舶や航空機に、限られる先島諸島においては部隊運用上の有用性が高いものもあると考えております」
との認識を示しました。

こうした民間施設の使用について国際関係論や安全保障論を専門とする、拓殖大学の佐藤丙午(さとう へいご)教授はこう分析します。