土地取引価格の指標となる公示地価が18日発表され、県内はすべての全用途(住宅地・商業地・工業地)で12年連続の上昇となりました。地価上昇の要因と今後の見通しについて、専門家に聞きました。

公示地価は、国土交通省が毎年、1月1日時点の全国の土地の価格を評価・公表しているもので、県内では全用途の平均変動率が7.2%アップ、12年連続での上昇となりました。



住宅地では中心市街地で、地元からの需要が堅調だった石垣市が19.4%。次いで、
全国的にも知名度が高く県外からの移住需要などもあった宮古島市が16.0%の上昇率をみせています。

商業地も宮古島市と石垣市がともに2桁台の伸びを見せ、上位となりました。

地価上昇の背景に観光需要の回復・拡大

大幅な上昇率を見せた県内の地価。その要因を鑑定に関わった仲本徹さんは、次のように話します。

▼不動産鑑定士 仲本徹さん
「2024年に入ってから大幅な観光需要の回復と拡大がみられている。観光客が増えれば店舗の収益が高まって、そこで働いている人たちの給料が上がってくる。不安感もなくなってくるので、住宅の購入意欲も高まっていく」



2024年の県入域観光客数は速報値で966万人と、前年と比べ約142万人増加。今年1月だけをみれば78万人と1月としては過去最高を記録しています。

好調な県経済が反映される反面、県民生活には「ひずみ」も。

▼今井憲和 記者
「県民目線でいうと、今の状況は厳しいようにみえますが……」
▼不動産鑑定士 仲本徹さん
「県内の不動産業者で、地元の人たちを対象にする方たちは、いま苦労していると思います」

不動産調査会社の東京カンテイによると、那覇市内の新築マンション1戸あたりの
平均販売価格は速報値で5024万円。高価格帯のマンションは投資家などに需要があるものの、地元住民を相手にした場合は4000万円を超えると売りにくいのが現状で、高止まりが続いています。



▼不動産鑑定士 仲本徹さん
「例えば、販売総額を抑えるために3LDKだったのを2LDKの広めにするとか。広めの2LDKが多いのはそのせいかと思います。相当工夫していると思います」

また宮古島市の住宅事情は深刻で、地元の不動産会社によればコロナ禍前、1K5万円だった家賃が現在は8万円に。3000万円ほどの戸建が4500万円に上がっているといいます。

▼今井憲和 記者
「家が買いづらい、住みづらい状況がより差し迫ってくるんでしょうか?」
▼不動産鑑定士 仲本徹さん
「そう。そういうところにきているのかなと思いますね」

今後もジャングリア沖縄や外国資本のリゾートホテルなどの開発が控えていて、県内地価の上昇基調は続く見込みです。