2004年長崎市の中学校で起きた男子生徒の飛び降り自殺で、遺族が事件からの日々を綴った手記を出版しました。
この死から18年。雄大くんの生きた証や事件からの日々を記録に残したいと母の和美さんが本を出版しました。
本には、不適切な教師の指導により子どもたちが自殺する『指導死』についてや、当時の学校の対応、再発防止への思いなどが綴られています。


『学校で命を落とすということ』
先月、出版された手記は冒頭、こんな言葉から始まります──

32歳になった雄大はどうしていただろうか。
子どもをなくした どの親もそうだろうが 、ふと考えてしまう。
でも想像がつかない。14歳のやんちゃな姿のままだ。
 ~『学校で命を落とすということ(安達 和美 著)』より

■ 掃除用具入れやアルミホイルで覆われた部屋での指導

出版したのは、次男・雄大くんを14歳で亡くした安達 和美さん(61)です。
学校へ見送る玄関での会話が最後となりました。


安達 和美さん(61):
「雄大が亡くなって…この18年色々ある中で、記録としてきちんと残しておきたいというのが一番強くて」

2004年3月。長崎市内の中学2年生だった安達 雄大くんは、ライターで遊んでいるところを担任の教師に見つかり、タバコの所持が発覚。


指導を受けたのは わずか90センチ四方の掃除用具入れの中や、アルミホイルで窓が覆われ 外からの光が遮断された教室。


タバコを吸っていることを知る友達の名前を言わされるなどした後「トイレに行く」と告げて、校舎から飛び降り自殺しました。


安達 和美さん:
「本来の指導が行われていたら死ぬことは絶対になかった訳なんですよね。指導とは言えないようなことがあったから死ぬまで至ってしまった。
”指導死って何なんだ”というところを、まず考えてもらうきっかけになればなと思います」


指導死──
教師の不適切な指導により追い詰められた子どもが死を選ぶこと。
安達さんが共同代表を務める『「指導死」親の会』が2007年に名付けた造語です。