先月29日、引き揚げの準備作業は大詰めを迎えていました。
この日は“掘り出したいかり”を引き揚げ用の架台に載せる作業です。

松浦市水中考古学研究センター 早田 晴樹 学芸員:
「下に架台を沈めてますけど、それに木製のいかりを移し替える作業です。ヤマ場の作業になります」


ダイバー「今から持ち上げます」


濁った海中で、いかりを傷つけないようダイバー4人がかりの “慎重な作業”が続きました。


池田教授:
「ひと安心ですね。あとは移動する途中でずれることがないように、細心の注意をしながら引き揚げていくつもりです」

■ クラウドファンディングには全国から1千万円以上

迎えた引き揚げ当日。20人あまりが船から作業を見学しました。
今回の事業で松浦市はクラウドファンディングを採用。
見学は寄付をした人への “特典” です。


海底に眠り続け、740年ぶりに陸上に引き揚げられたいかりは、ところどころ黒くなっていましたが、木目まではっきりわかるほど状態は良好でした。


保存処理をするため、埋蔵文化財センターに運ばれ、乾燥して劣化しないよう海水を張った水槽で保管されています。


池田教授:
「まずはほっとしたというのが一番ですね。
水面から引き揚げた瞬間に重力がぐっとかかるので、その瞬間に折れたりしないよな あるいは欠けたりしないよなというのが一番心配していたことなんで」


今回のクラウドファンディングには、約1,152万円の寄付が集まりました。
『海底遺跡』への関心の高さを物語っています。

熊本市から来た参加者:
「ロマンを感じるというか、歴史の一端に接することができて、とても嬉しかったです」

名古屋市から来た参加者:
「きれいに“原形”がとどまってたし、いかりそのものを実際にみたことがなかったので、意外に大きくてびっくりしました」

この引き揚げ作業を 感慨深げに見つめていた男性がいました。
松浦市の宮本啓史さんです。