核兵器に頼る安全保障政策は 「一時的」?

2022年に岸田総理が立ち上げた「国際賢人会議」。核保有国と非保有国双方の有識者らが「核兵器のない世界」に向けた道筋を議論するもので、2023年12月には、第3回会合が長崎市で開かれた。

その際、「核抑止」を始めとした核兵器に頼る安全保障政策について、委員からは、「一時的なものだ」と強調する意見が聞かれた。

仏戦略研究所副所長 ブルーノ・テルトレ委員:「私は『核抑止力』の支持者です。しかし、それは一時的な措置、その場しのぎであるべきだという事実は常に念頭に置いています」

米カーネギー国際平和財団 シニアフェロー 趙 通 委員:「日本のように安全保障を依然として『核抑止力』に依存している国にとって、これは一時的な解決策であるというメッセージを発することが特に重要だと思います」

しかし、その「一時的」は、いつ終わるのか?

「今はまだ核兵器の力が必要だ」という状況は ずっと続いている。

つまり...

自国の安全保障が損なわれてしまうと考える国がある限り 核兵器はなくならない ⇒ そう思わないで済むような世界にしなければならない

そうした考えのもと研究を続けている研究者がいる。

4月にRECNA(長崎大学核兵器廃絶研究センター)の副センター長に着任した樋川 和子 教授だ。

元外交官で、専門は、核軍縮と核不拡散。

IAEA・国際原子力機関の理事会議長の補佐や、2007年のNPT再検討会議準備委員会では、天野之弥議長の補佐を務めた。

その後、オバマ政権下のアメリカや、過激派テロ組織「イスラム国」に支配されたイラクに赴任。

核をめぐる多国間のやりとりや、核大国・アメリカの政策などをつぶさに見てきた。

そんな樋川教授は、核兵器をなくすには「過去に学び、問題の本質を捉えた上で考えること」が重要と語る。

樋川 和子 教授:「なぜこれがうまくいかなかったのかというのをよく確認した上で、では、私たちは何をしないといけないかというのを考えた方がいい」