今月は「プライド月間」と定められていて、世界各国で性的少数者の権利を啓発する活動が行われています。
宮崎県内でも、多様な性への理解を深めるための取り組みが広がり始めています。

「ものすごく生きづらかったよ。人と話をすることもできないもん」

21日から宮崎市の「宮崎キネマ館」で上映される映画「94歳のゲイ」。
大阪に住む男性同性愛者、長谷 忠さんに密着したドキュメンタリーです。

かつて同性愛は「変態性欲」だと公然と語られ、治療が可能な精神疾患とされてきました。

1929年生まれの長谷さんは、結婚をしたことも、誰かと交際した経験もありません。

ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、好きな男性ができても告白することもできない時をすごしました。

(長谷 忠さん)
「ものすごく生きづらかったよ。人と話をすることもできないもん」

時代の流れとともに同性愛者を取り巻く環境は変化。
孤独の中で生きてきた長谷さんの新たな出会いや別れを通して、人の繋がりが生む希望と優しさを描いた映画となっています。

毎年、確実に利用者が出てきている。この制度を作ってよかったなと思う

今月は、性的少数者の権利を啓発する活動が世界各国で行われる「プライド月間」。
県内でも「多様な性」への理解を深めてもらおうと様々な取り組みが行われています。

(田尻怜也記者)
「宮崎市役所内にあるこちらの階段は、LGBTQなどのシンボルであるレインボーカラーで彩られています」

レインボーカラーは性的少数者への理解を深めてもらうためのシンボルカラー。
「プライド月間」に合わせて、県庁や延岡市の城山公園の石垣がレインボーカラーにライトアップされています。

また、行政手続きでも性的少数者への配慮が始まっています。

宮崎市は、228の行政文書について「必要ない」と判断し、性別欄を削除しました。

また、性的少数者のカップルをパートナーとして認める「パートナーシップ宣誓制度」を県内で最も早く2019年に導入。
これまでに30組が宣誓しています。

県内では、11の市と町がこうしたパートナーシップ制度を導入しています。

(宮崎市地域振興部 山本哲也部長)
「毎年、毎年、確実に利用者が出てきているというところは、やっぱりこの制度を作ってよかったなと思う」

「LGBTQ」という言葉の認知度は本当に5、6年前とは全然違う

自らゲイと公言している宮崎市の山田健二さんは、8年前、性的少数者の支援などに取り組む団体「レインボービュー宮崎」を設立しました。

(レインボービュー宮崎 山田健二代表)
「その当時は、自分にとっても居場所がなかった。そういう居場所が宮崎県内でもしっかり整えていきたいというのがきっかけ」

「レインボービュー宮崎」では、性的少数者の当事者や関係者のつながりを深めようと、パレードを実施しています。

(パレードに参加している女性)
「(性的少数者への理解を深めてもらうために)まず、できることから始めるということで、パレードをすることによって、いろんな人にそのことをアピールできるし、よい機会だと思って参加している」

山田さんは、こうした活動を通じて、性的少数者への理解が年々深まっていると実感しています。

(レインボービュー宮崎 山田健二代表)
「例えば、中高生向けに話していっても『LGBTQ』という言葉の認知度は本当に5、6年前とは全然違う。大人の方々っていうのも『LGBTQ』という言葉であったり、『同性婚が早く実現すればいいのに』と言ってくださる方はどんどん増えてきてるというのが、今の現実的な社会なのかな」

性の多様性を尊重する社会の実現に向け、その取り組みが徐々に広がりを見せています。

※MRTテレビ「Check!」6月20日(木)放送分から