世界に先駆けてとらえた映像とは

小野教授らは繊維状になる前の段階で見られる「プロトフィブリル」が特に神経細胞に悪影響を及ぼすことを突き止め、レカネマブが抑え込む様子を映像化することに成功しました。

新薬が認知症の原因物質に作用する様子

世界で初めて捉えた映像には、レカネマブが薬がアミロイドβの「プロトフィブリル」に結合し、天ぷらの衣のようなもこもこした形に変化しているのが分かります。

小野教授
「おそらく衣状態にすることによって免疫細胞がパクパク食べやすくしているというメカニズムと、あるいは結合することによって、更なる固まっていく過程を抑制することが出来た。そういうことによって触接の細胞毒性も軽減することが出来たという風に考えています。」

これにより病気の進行を3年ほど遅らせる効果が期待されますが、新薬の対象となるのは軽度のアルツハイマー病とその前段階の軽度認知症でその他の認知症は対象外となります。

軽症以外は対象にならない

小野教授
「ある程度認知症専門医なら診察することはできます。ただ、アルツハイマー病ではない他の原因の軽度認知障害の可能性も精査する必要がありますので、やはりアミロイドがたまっていることを証明できないと、この抗アミロイド抗体の介入(レカネマブの投与)は難しくなると思います」

認知症治療薬「レカネマブ」は承認されればアルツハイマー病の原因物質を取り除くための国内で初めての薬となり、エーザイは年内にも流通が可能だろうとしています。

国内では認知症の患者が2年後の2025年にはおよそ700万人、65歳以上の5人に一人に上ると推計されていてその認知症患者のうち6割以上がアルツハイマー病と言われています。今後はアルツハイマー病の早期発見が課題と言えそうです。