病気の原因に直接作用する新薬として注目されていた認知症治療薬「レカネマブ」が日本で初めて承認される見込みとなりました。画期的とされる薬のメカニズムの解明には金沢大学の研究チームが大きくかかわっていました。

製薬大手のエーザイなどが開発したレカネマブは、アルツハイマー病の進行そのものを抑える効果が期待されていて、軽度の認知症やアルツハイマー病患者の治療を見据えています。21日開かれた厚生労働省の専門部会で国内での製造と販売が了承されました。
金沢大学・小野賢二郎 教授
「承認されるのは初めての経験なので非常に感慨深いものがあるし、こういうことがあるからまた臨床と研究を両立するのは難しいのだが、頑張ろうという気になります」
長年、アルツハイマー病の研究に取り組んでいた金沢大学の小野賢二郎教授。日本初の新薬が承認されたことで今後、アルツハイマー病以外にも治療薬の開発に弾みがつくと捉えています。

小野教授
「ここまで病気の本体に迫ったお薬と言うのが今までなかったので、パーキンソン病とか筋萎縮性側索硬化症とか、そういった他の疾患にも光が差してくる」
そもそもアルツハイマー病は、脳の神経細胞の周りに「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積されることで神経細胞が破壊され、脳が委縮することで記憶力や判断力といった認知機能が低下する病気です。
金沢大学の研究チームではこの「アミロイドβ」研究に長年取り組んできました。

2016年、小野教授らは、特殊な顕微鏡を用いて、世界に先駆けてアミロイドβが徐々に変化していく様子をリアルタイムで捉えていました。
そもそもアミロイドβは、粒から繊維状に変化しながら20年ほどかけて脳に蓄積されます。