今月5日、石川県珠洲市で起きた震度6強の地震。珠洲市の伝統工芸品の珠洲焼を作る工房では、窯が壊れるなど甚大な被害が出ていました。

珠洲焼作家の篠原敬さん。今月5日の地震でおよそ100点の作品が割れ、28年使った工房は建物の基礎が沈んでしまいました。
一番の被害は作品を生み出す窯。
珠洲焼作家 篠原敬さん
「壁面が全部中に落ちちゃって」
記者
「ここに散乱しているレンガ、もともとこの壁のレンガ?」
篠原さん
「そうです。この(横)揺れだったので(支柱の)アーチに歪みができて、このままだと余震が来ると潰れる可能性があるので全部組み替えないと」

窯の中を酸欠状態にして独特の黒色を生み出し、薪の灰がとけた模様を浮かび上がらせる珠洲焼。そのため、窯に少しでも隙間があると焼き上がりが赤くなってしまいます。
去年6月の地震では、10月から2か月かけて窯を直しましたが、今回、被害が大きく、作り変える必要に迫られました。
珠洲焼作家 篠原敬さん
「前回も6月に起きて窯を直すまで余震が続いていたので10月になってようやく直す気持ちになって窯を直して、年末に1回焚いて修復がうまくいって焚けたので、これからこの窯使えるなと思ったところで今回の地震でしょ」

窯の再建には3、4か月かかるという篠原さん。地元の伝統工芸をつなげたいという思いを振り絞ります。
珠洲焼作家 篠原敬さん
「珠洲焼が復興して40年なんですね。1回途絶えていたのがようやく今、作家数増えてきて。窯元も増えてきて社会的にも認知度が高まってきたんです。そこで去年と今年ですからね。去年は何とかこの地震で廃業する窯元はなかったんですが、今回どうか。僕も廃業しようと一瞬思いましたけど、当日午後5時ごろに来てこの散乱した状況、もっとひどかったですからね。見たときにもう終わったなというふうに思いましたけど、なんとかしましょう」