北陸新幹線の大阪までの全線開業に向けた計画にまた、狂いが生じます。国土交通省は、福井県の敦賀と新大阪間の整備をめぐり、来年春の着工を断念する方針を与党に報告しました。
北陸新幹線の大阪延伸をめぐっては、2020年12月、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームが、来年春に敦賀以西で着工する決議をまとめました。
しかし、周辺の騒音や生態系への影響を調査するアセスメントの手続きをめぐり、新型コロナの影響や京都府の一部の地域で反発の声が上がっていることから、国土交通省は来年春の着工を断念すると14日、与党北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会の会合で説明しました。
通常、アセスメントは着工前に終える必要があり、それを踏まえて工事の実施主体、鉄道・運輸整備機構がルートを設定。その後、工事の実施計画を国が認可することで着工という流れですが、今後は用地取得やトンネル建設にかかる費用の検討などの作業を前倒しすることで、影響を最小限に抑える考えです。
敦賀までの開業の1年遅れに続く今回の事態に、与党PTに所属の佐々木紀衆議員議員は「地元にすれば2回約束を反故にされたことになる。予算はこれまでの804億円というものをはるかに上回るということで、敦賀以西に向けて大きく踏み出したぞと明確にわかる予算を示してもらいたい」と話しました。

委員会では週明けにも再度会議を開き、北陸新幹線の1日も早い全線開業を目指すため、来年度の予算確保に向けた議論を急ピッチで進めます。