短時間で決断を迫られた町の職員「ふつうの雨と全然違った」

線状降水帯が発生した夜、町役場も、経験したことのない災害に直面していました。

津幡町総務課危機管理対策室の係長で、災害時の危機管理を専門に担う榊原健吾さん。その日は夕方に一度退庁し、自宅に帰っていました。しかし午後8時23分に大雨警報が発表されると、再び出勤。町内を流れる川が次々と氾濫していき、榊原さんたちは情報収集に追われました。刻々と変わる状況に、線状降水帯の脅威を感じたといいます。

総勢11人の総務課の中で、防災に関する事務を担う榊原さん=2024年7月8日、津幡町役場

榊原さん
「実際に体感してみるとふつうの雨と全然違って、短い期間ですごく雨がたくさん降るので、その中でいろんな判断を短い間にしないといけないというのが非常に困難だなと感じた」

注意報、警報、土砂災害警戒情報、そして線状降水帯

2023年7月12日に津幡町に発表された気象情報

津幡町に発表された気象情報です。午後8時4分に出された大雨注意報は、わずか19分後に警報に引き上げられ、その後も洪水警報や土砂災害警戒情報、そして線状降水帯の発生と、情報が次々と舞い込み、榊原さんたちは短時間でさまざまな決断を迫られます。

榊原さん
「避難指示を出すというところの判断が一番、町長も含めて難しかった」

住民の移動が難しい暗い時間帯に避難指示を発令すべきか。上司や町長とも悩んだ末に、榊原さんたちは、川が氾濫するおそれがあった3つの地区への避難指示を決断します。

発令の時刻は午後10時。能瀬川では水が道路にあふれ、すでに避難ができない状況でした。