「本当は病院機能を戻したい」しかし、福祉施設では…

河崎国幸 事務部長「市民からすると、これは非常に使い勝手の良い事業所として存在しているとは思いますが、ただ、これが民業圧迫するという事態になれば話は変わってくるなという状況は思ってます。将来的には病院の機能をしっかりと発揮する上では現時点では介護医療院はやっていますけど、ホントは病床に戻していきたいという思いが強いです」

市立輪島病院

再開時期を模索している輪島市の特別養護老人ホーム「輪島荘」。

建物を案内しながら、猪谷圭一郎理事長は「直せないところもあるんです。例えば閉めるでしょ…そしたら、傾いているのが分かります」と被害の状況を説明します。ここでは、施設に続く道路が崩れ停電や断水が続いたことから、利用者全員を他の施設に避難させています。

利用者がいなくなった「輪島荘」

猪谷 理事長「輪島荘においては、6月めどに再開をしますと震災直後からもうお話をしましたので、職員さんは8割以上残って頂いているのが現状です」

しかし、当初予定していた6月になっても施設は再開できていません。猪谷 理事長は、背景に補助金の申請手続きの煩雑さがあると話します。

猪谷 理事長「補助金をもらいますので、(行政が)見に来るんですけど、(修復後を見ないと)査定ができないといわれた。事前の着手の写真を照らし合わせて、ここまで見れる見れないって、現地で公表しますと。先に(検査を)やって欲しいという話をしたんですけどね。」

修理に必要な補助金の査定には国の担当者の調査が必要です。調査結果が出るまでは補助金の対象となる修理の範囲が分からず、修復は限定的になります。

修復した壁を見て回る

猪谷 理事長「例えば、ここがひび割れしていたら、…全部が張替えすることは出来ないんですわ。この部分しか変えたらダメと、いう決まりがある」

災害からの復旧工事は原状復帰が原則。補助金の範囲内で収めるため、あちこちの壁紙がつぎはぎだらけになっていました。

つぎはぎだらけの壁

6月5日。施設の再開に向けた話し合いが行われました。多くの職員がインフラの復旧を待って避難先から輪島に戻ってきました。職員らは「しおりちゃん、仮設には入れたの?」「いや、入ってないです」と互いにそれぞれの状況を語り合います。
この日報告されたのは、市外に2次避難している利用者家族の声です。