2023年の出来事をふりかえる「こうち2023」。19日のテーマは政治と選挙です。統一地方選や知事選だけでなく、予定外の補欠選挙などが目白押しだった一年ですが、課題は少なくありません。

(高野光二郎 参議院議員(当時))
「本当に、本当に、申し訳ございませんでした」

選挙で選ばれた国会議員が新年早々、頭を下げました。徳島・高知選挙区選出の高野光二郎(たかの・こうじろう)参議院議員の公設秘書が、酒気帯び運転の疑いで摘発されていたことがわかり、高野議員は謝罪。しかし、数か月後に再び頭を下げることになるとは本人も思っていなかったかもしれません。

2023年は、統一地方選や知事選など選挙の予定が目白押しの年。3月にはこの人が動きました。

(濵田省司 知事)
「県民のみなさんに支持いただけるのであれば、2期目の県政運営にあたるべく、秋の県知事選挙に挑戦したい」

11月の知事選を前に現職の濵田知事が出馬を表明。新型コロナ対策に追われた1期目。2期目では関西戦略などの政策を推進したいと決意を述べました。4月には統一地方選が始まり、県内各地を選挙カーが走り回りました。選挙戦になったのは17選挙区・37議席のうち、8選挙区・25議席だけ。残りは無投票となり、政治への関心低下や、なり手不足などの課題が浮き彫りになりました。

そして6月…

2022年の末、高野光二郎参議院議員が、居酒屋で当時の秘書を殴打し、流血させる騒ぎを起こしていたことがテレビ高知の取材で明らかになりました。高野議員は国会内で弁明に追われます。

「私の左隣におって、ちゃんとやろうぜっていう感じです」

「気合を入れるため胸のあたりをポンとたたくつもりが、鼻に当たってしまった」と話した高野議員。しかし…

(被害にあった元秘書)
「鼻血の応急措置をしたあとも高野議員の話が続いた。血が止まったころに高野議員の方に顔を向けると、再び、口のあたりを殴られた」

元秘書の男性は「暴行は複数回あった」と話し、「たまたま1回当たった」とする主張に食い違いが。

高野議員は辞職を表明。高知市で会見を開きますが、その場で記者の質問に答えることはありませんでした。

高野氏の辞職で10月に参議院徳島・高知選挙区の補欠選挙が行われることに。自民党は県連幹事長の新人 西内健(にしうち・けん)氏を擁立。

立憲民主党や共産党は無所属で出馬した元職の広田一(ひろた・はじめ)氏を支援することになりました。

(広田一 氏)
「自民一強独占に風穴を空けて、もう一度政治に緊張感を作っていく」

(西内健 氏)
「政策を実現できる、そのために与党の自民党、そして公明党の政権が安定していく必要があります」

選挙期間中にはこの人も来高。現役の総理大臣が高知に入るのは10年ぶりでした。

(岸田文雄 総理)
「自民党と公明党が今日まで努力をして積み上げてきた政策、そして未来に向けて今打ち出している政策、これを実現するために西内さんを選んでいただく、こうした選挙だと思っている」

しかし、岸田総理の後押しも自民党現職議員の不祥事で失った信頼を取り戻すには至らず、参院補選は無所属の広田氏が勝利しました。

(広田一 氏)
「ゆるみ、おごり、やりたい放題の政治になっている。その原因になっている岸田自民一強独占状態に風穴をあけて、政治に緊張感をつくっていく」

11月の知事選には現職を含む4人が出馬しましたが濵田氏が得票率8割を超える圧勝で2期目を決めました。

(濵田省司 氏)
「最大の課題である人口急減問題に関しまして対策をしっかり打っていく、こういった訴えが評価をいただけたと思います」

一方、白熱した戦いが繰り広げられたのは同時に行われた高知市長選挙でした。

(岡﨑誠也 氏)
「私じゃないとできないと思ってます」

(桑名龍吾 氏)
「このままの高知市か、これからの高知市か」

5期20年の実績を誇る岡﨑誠也氏は一時、出馬しないとの見方もありましたが、「総仕上げをやらせてほしい」と立ち上がりました。対するは県議会議長の経験もある新人の桑名龍吾氏。「新しい高知市へのチェンジ」を掲げ、支持を呼びかけました。

およそ2000票差の接戦を制したのは桑名氏でした。

20年高知市を率いた岡崎さんは、退任。

(岡﨑誠也 氏)
「職員のみなさんはエキスパートなので大丈夫です。頑張ってください

県都、高知市の新たな市長は、「身近な市政を目指す」と誓いました。

(桑名龍吾 市長)
「私は市民の中身もどんどん飛び込んで、身近な市政というものを築いていきたい。自らが汗をかく市長となることをここで誓いたい」

ほかにも土佐市や土佐清水市、宿毛市の市長選挙など数多くの選挙が行われた2023年。その中で共通した課題として挙げられるのが低投票率です。

今年実施された主だった選挙のほとんどで投票率は前回を下回り、過去最低を更新した選挙もあります。人口減少など待ったなしの課題を解決する糸口をつかむためにも、不祥事によって政治不信が強まることはあってはいけません。

参院補選、県政、市政…住民の選択とともに、多くの行政が「再始動」した2023年。政治への信頼を取り戻し、関心を高めるためには、一体何が必要なのか。課題は少なくありません。