迎えた2025年、松本選手は、「目が見えなくなってから養った」という巧みなボールさばきと、長時間走れるスタミナを武器に、シーズン前の練習からアピールを続けていました。
そんな松本選手を、秋田豊監督は「本当に見えていないのかな?と感じる。それだけプレーを見ていて違和感はない。彼がプレーすることは、同じような境遇の人たちにすごく勇気を与える」と評価。その一方で、「だからと言って優遇はしない。ピッチに立つ時間を、自らの実力で勝ち取ってほしい」とも話していました。

シーズン開幕後、松本選手は、けがの影響でリーグ戦・カップ戦とも出場がありませんでした。5月3日には36歳の誕生日を迎えましたが、その8日後、5月11日の天皇杯・高知県予選決勝で、初のベンチ入りを果たしていました。
そして、高知ユナイテッドSCが1点をリードした後半30分、相手にコーナーキックから決定機を作られるなど緊迫した場面で、松本選手がピッチに送られたのです。
「僕のポジションは右サイドバックで、僕の右側にあるのはタッチラインだけなので、右目は見えなくてもサッカーはできる」と、リハビリに取り組んだという松本選手。この試合も、「右ウイングバック」としてプレーしました。