「このままでは死ねない」ある恐怖体験が人生を変えた

理絵さんが人生を大きく方向転換させることになった出来事。それは8年前、自宅から車で1時間余りのところにある神社を参拝し、車で帰る途中のことだった。

高速道路の真ん中にウサギが現れ、それを避けようと、とっさに大きくハンドルを切った。車はトンネルの壁にぶつかり横転。車が大破するほどの事故だった。

幸い理絵さんにけがはなかったものの、一瞬死が頭をよぎるほどの恐怖体験だった。

「このまま死んでしまったとしたら絶対後悔する」

この体験から彼女は毎日、生きる意味を問い続けた。そしてたどり着いたのは、子どもの頃から好きだった「絵」の世界だった。

▼川村理絵さん
「死んでいてもおかしくないような事故で、『このままでは死ねない。自分の本当にやりたいことができていない』ことに気付かされたんです。一度きりの人生、後悔したくない、絵を描きたい。死に直面したことで今まで眠っていた感情が一気に湧き上がってきた感じでした」

決意を固めた理絵さんは理学療法士として20年勤めた病院を離れ、43歳で画家として歩み始めることとなった。