絵の根底にあるのは「神様」

まるで版画のような繊細なタッチのこの作品は、万年筆を使って描かれている。理絵さんにとって大切な人が亡くなり、その直後に筆をとった。
▼川村理絵さん
「天国で神様はすべての魂を優しく包み込み、癒やしたり慰めたりしているのかなと思いながら描きました」

「孔雀」と題したこの作品も万年筆絵画。筆先をキャンバスに打ちつけて描く技法で、小さな点が繋がってひとつの絵になる。
点を打つ回数は、ざっくり1センチ角で1500回。この「孔雀」の作品ともなると、実に375万回。気の遠くなるような点の集合体が強烈な存在感を放つ。1年がかりの大作だ。

▼川村理絵さん
「点の形はどれも違っていて、ひとつでも欠けてしまうと成り立たない。私たちが住んでいるこの場所も一人一人の存在で成り立っていて、それぞれの個性が集合して温かい世界を作っている。これもすべて神様に繋がっているんだと思います」
「神様を描いていることに気付いた」
理絵さんの根底にあるもの、それは「神様」幼い頃から、その存在を意識し続けてきた。身近な人の死を経験したときには子どもながら「死んだらどうなるのか」「どこに行ってしまうのか」「神様はいるの?」と考え、眠れないほどだった。
そんな子ども時代を経て、いつしか神様を身近な存在として感じるようになったという。

▼川村理絵さん
「自分の絵を見返したときに、神様を描いていることに気づきました。「人生を諦めるな、人生は楽しいもの。世界は自分で創れる」神様がそう教えてくれた。今度はそれを誰かに絵で伝えることができれば、そんな思いで描いています」
理絵さんの前職は、理学療法士。安定した職を捨てて絵の世界に進んだきっかけは、8年前のある出来事だった。