
◆近森病院 救急科 久雅行 医師
「大規模災害の発生直後は、自分たちも被災しているので、医療従事者がすぐに『トリアージ』を行えるのかというと、現実的には難しいと思っています。そういう時に、知識を持っている市民が重症者を拾い上げてくれるのは、すごく有意義なことだと思っています」
「南海トラフ地震」の発生で甚大な被害が想定されている高知県では、発生時、医療関係者や救急隊員自身も“被災者”となるおそれがあります。こうした時に、自分たちで「トリアージ」ができる正しい知識があれば、「助かる命を確実に救う」ことができ、災害時の「自助」「共助」にもつながります。

◆江ノ口小学校区防災連合会 立道和男 事務局長
「災害時は、みんな『自分がお客さん』という意識ではダメで、自分たちが暮らす地域を守るためにみんなが動かなければならないんです。瓦礫の中から人を助け出すことは難しくても、助け出された人を自分たちで『判断』することはできます。『この人を早く医者に連れて行かなければならない』というのを、どう判断するのか。そのためにできることの一部として、今回『市民トリアージ』という勉強会を計画しました」
今回、講師を務めた久雅行医師も、「こうした学習会は初めてだったが、市民が『トリアージ』を学ぶ活動は、今後もどんどん続けていってほしい」と話します。
「今後30年以内に、80%程度」の確率で発生するとされている、南海トラフ地震。“必ず起こる”大災害を前に、こうした「自助」「共助」の知識を身に付けることも、1つの“備え”として、私たちが求められていることです。