「身近にライバルがいてこその最高の結果」
櫻井つぐみさんと清岡幸大郎さんは3歳から、つぐみさんの父、櫻井優史さんが立ち上げた高知クラブでレスリングの基礎を身につけた。2人は同じ目標に向かう最も身近で最大のライバル。
ところが中学以降、成績の波は「明」と「暗」を交互に繰り返していく。中学時代は、つぐみさんが全中3連覇など中学1年から頭角を現す一方で、幸大郎さんはなかなか結果を残せず、一歩遅れて3年生で全中優勝。幸大郎さんによると、「小中学校時代はライバル意識が強すぎて一番仲が悪かった」という。

反対に高校時代は、幸大郎さんが高校2年生で高知県勢初のインターハイ、国体優勝と勢いに乗るなか、つぐみさんはスランプに陥り、インターハイでは2年続けて表彰台を逃した。つぐみさんは「自分が負けた時に、幸大郎が勝つと悔しかった。」と話すなど、常にライバル視してきた仲だった。
■清岡幸大郎さん
「一番近くで意識し合ってやっていたので、なかなか認めたくないし、自分よりも成績を残されると悔しいという気持ちがすごく強くて」
■櫻井つぐみさん
「幸大郎が県勢初でインターハイで優勝したりして、そのとき自分は表彰台にも上がれなかったので、本当に悔しくて。試合に負けたことよりも、幸大郎が優勝したっていうのが悔しかったですね」
そんな2人は、パリでそろって金メダル。一緒に夢を叶えたということで「今が一番仲がいい」と口をそろえた。

幼い頃からの2人のオリンピックストーリーについて、吉田沙保里さんは…
■吉田沙保里さん
「幼なじみで金メダル、すごいことですし、うらやましい。近くに切磋琢磨できる存在がいるということが、最高の結果に繋がったのかなと。2人が戦う訳ではないけれど、悔しいから頑張ろうとか、お互いが向上し合っていけたのが良かったんだと思いますね」

吉田沙保里さんは、五輪3連覇をはじめ、世界大会16連覇、個人戦206連勝と前人未到の偉業を成し遂げていて、2人にとってもあこがれの存在。実は中学生のとき、一緒に高知でトレーニングをしたこともあった。
■吉田沙保里さん
「その頃から強かったですね。夢はオリンピックと言ってましたし。その気持ちが続いてくれればと思っていましたが、期待通りやってくれました」
■櫻井つぐみさん
「霊長類最強の方なので…。高知での練習の時のことを覚えて下さっているかなと思ったんですが、こうやって覚えていて下さって本当に嬉しいです」