お母さんにとって出産という大仕事を終えた直後に始まる子育て。産後は体内のホルモンバランスが急激に変わるうえ、体調や生活リズムの変化によって「産後うつ」に陥る人も少なくありません。2018年には深刻なデータが発表されています。

国の研究機関が2016年までの2年間に死亡した産後1年未満の女性について分析したところ、死因は「自殺」が最も多く92人もの女性が亡くなっていたことが分かりました。出産直後だけでなく数か月後に自ら命を絶つケースもあるほか、特に35歳以上や初めて出産を迎えた人などで自殺率が高いという傾向があり、こうした現状から、近年、産後ケアの重要性が注目されています。

一方、糸魚川市では、また別の理由で子どもを産み育てることへの不安が高まる出来事がありました。

【横澤亜希子さん】
「糸魚川で出産ができなくなるということに、市民や女性たちの反応が思いの外、大きかった」

市内で唯一分娩を扱う糸魚川総合病院が産科医の不足を背景に去年4月、分娩を休止したのです。その後、医師が確保できたことから11月に受け入れを再開しましたが、その医師は1人だけ。横澤さんは医師不足などの状況を踏まえて遠くない未来で、糸魚川市は産科医療の「陸の孤島」になるかもしれないと考えています。

【横澤亜希子さん】
「せめて産むのは糸魚川市で産めなくても、妊娠中や産後のケアができる場所が糸魚川にはあるという安心感を糸魚川市の女性たちに持ってもらい、ここで生活していってほしいなという思いもあって」