村上さんたちがとったクジラは、戦後の食糧難に安くて栄養価の高い食材として庶民の暮らしを支えました。
郷土の食卓と発展を支えたクジラ
そのクジラを使い、野菜と炒めて煮た「くじら汁」は、青森県南地方の家庭の味で、いまも変わらずに愛されています。

※肴町のらぷらざ亭 小笠原美千代 代表
「昔はくじら汁を寒い廊下において温めながら何日間か食べた記憶があります。くじら汁と刺身で育ってきているので、馴染みがある。本当の郷土料理」

身近な存在だったクジラも1970年代に入ると頭数の減少により規制が強化され、日本は1987年に、南極海での商業捕鯨を中止。これに伴い、出稼ぎをする人もいなくなりましたが、クジラの村・南郷を後世に伝えるため、道の駅なんごうには捕鯨砲(ほげいほう)と記念碑が設置され今も大切に守られています。
※村上石藏さん
「クジラのお蔭で、旧南郷村は栄えた。そのお陰でいまがある。南極があったから」
古くから、人々に大きな潤いをもたらしてきたクジラ。三八地域の暮らしに深く結びつき、今につながっています。

