青森県内の優れたモノや取り組みに迫る「キラリ逸品」です。今回は「きのこ」をガラスに閉じ込めたペンダントです。このキノコ、ある独特な技法で作られたものです。そして身に着けるだけでない魅力も詰まっていました。


数センチのガラスに閉じ込められた可憐なきのこ。胸元を飾るこのペンダントの魅力は、その愛らしさとともに、かざすことで広がる世界観です。


※市川麻耶キャスター
「木々をバックに、この「きのこのペンダント」をかざして見てみると、このように、まるで本物のキノコが森に生えているようです」

見る人を不思議な世界へいざなうペンダントを制作するのは、小林宏さんです。小学生の頃から吹きガラス職人に憧れを抱き、専門学校でガラス細工を学びました。そして9年前、青森市富田に念願のガラス工房ripples(リップルズ)を立ち上げました。


小林さんの作品は、アクセサリーのほか小物など多岐にわたりますが、共通するのは、まばゆいガラスとそこに閉じ込められた美しい自然や抽象的な色彩です。しかも、ガラスの中のきのこや花びらは本物ではなく、「ある」技法を駆使したものです。

小林さんの作品



※小林宏さん
「(ガラス技法の中で)特にバーナーワークに出会った時はすごい自分が出会ったという感じがして。あ、これだと思いました」



バーナーワークは炎の力でガラスの形を自由に変える技法です。リアルなきのこをどうやってガラスの中に作るのでしょうか。まず、ボロシリケイトガラスという、特に透明度が高いガラス素材を高温で熱し、球体を作ります。そして、その中に色の付いたガラス棒を差し込むと…。


※小林宏さん「先端が傘になって、開いて、きのこの形が入りました」


独特な技法で本物と見間違えるようなきのこをガラスの空間に出現させる小林さん。その色と形をイメージ通りに創り出すため、工夫を重ねていると言います。


※小林宏さん「色の組み合わせや配色は無限大だと思います。実験の中で新しいものの色の組み合わせとかを見つけるとうれしい」



こうしてできた小林さんの作品はアメリカのガラス専門誌にも取り上げられ、その技術の高さが高く評価されました。青森市の雑貨店では、小林さんの作品をとりそろえた一角が設けられ、多くの人の目を引いています。


※miageru.店主金原蓉子さん
「おもしろいですよね発想が。え、きのこ?って感じなんですけど、きれいな「きのこ」だったり、リアルなナメコみたいな「きのこ」だったり。それぞれ一つしかない作品を秋の雰囲気で楽しめるように心を込めて作っているのが素敵」



そして小林さんの工房には、こんな小さなファンも訪れ作品を見ていくそうです。


※工房を訪れた小学生「よく放課後に来てるの?よく来てる。ママにOKされたら買ってみたい気分になる」

リアルなきのこをガラスに閉じ込めたペンダント。まばゆいガラスは、かざす時間や場所で、その表情を変化させます。小林さんはアクセサリーとしての自身の作品をこう説明しました。


※小林さん
「自分でうまく作れた時は、ずっと眺めているんですよ。身に着けるものなんですが、何かずっと覗いていたくなるというか、どこまでも飽きないというか。そういう風に楽しんでもらえればいいなと思います」



小林さんの「きのこのペンダント」は青森市桜川の雑貨店miageru.で販売。毎週水曜は定休日。「きのこのペンダント」2970円(税込み)