麻生氏の発言の真意は? 上川外務大臣が“ポスト岸田”に急浮上

今回の調査で興味深かったもうひとつの“異変”は“ポスト岸田”レースだ。「自民党の中で岸田総理の次に誰がのぞましいか」について不定期で聞いているが、これまでの上位3位の“常連”は石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境大臣、河野太郎デジタル大臣だった。
しかし今回河野氏を押しのけ、3位に急浮上したのが上川陽子外務大臣だった。

さらに男女別で詳しく分析する。

<男性> 
1位 石破茂(22.1%) 
2位 小泉進次郎(11.1%)
3位 菅義偉(9.8%)
4位 河野太郎(9.6%) 
5位 上川陽子(8.3%)

<女性>
1位 小泉進次郎(17.4%) 
2位 石破茂(15.1%)
3位 上川陽子(10.7%) 
4位 河野太郎(6.6%) 
5位 高市早苗(4.8%)

上川氏はとくに「60代以上の女性」の人気が高く、石破氏(19.9%)に続く2位(15.8%)だった。

上川氏が急浮上した理由は、麻生副総裁の“ルッキズム発言”で注目度があがったからだと見る向きが大勢だ。

「このおばさんやるねと思いながら、こないだニューヨークで会ったけど。少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども、間違いなく堂々と話をして、英語ももちろんきちんと話をし、自分で予約から何から、外交官の手を借りなくて、『あー私がやるからいい』と。自分でどんどん会うべき人たちは自分で予約を取っちゃう。そして会うべき人はパッと、1週間の間にニューヨークの国連の総会の後、バタバタとやってるのを見てあーこれは大したものだと、つくづく思いました。あんなことができた外務大臣は今までいません。ぜひそういった意味で、新しいスターが。新しい人が、そこそこ育ちつつあるんだと思いますね」(1月28日・福岡県芦屋町での国政報告会)

麻生氏のこの発言をメディアは一斉に報じ、後日、麻生氏は発言の撤回を余儀なくされた。
この発言の評価はここではいったん置いておいて、麻生氏が「新しいスター」とまで、上川氏を評価したことに注目したい。
ある自民党ベテラン議員は麻生発言を次のように解説する。

「キングメーカーにという思いはあるんだろう。どこまで上川さん推しなのかは分からないけど、総裁候補の一人として保険をかけておく意味はあるんじゃないか」

麻生氏の発言の真意は推し量るしかないが、結果、実に皮肉なことに、上川氏の知名度をあげた。「麻生さんの効果は絶大だった。狙い通りだろう」と分析する声も自民党内から聞こえてくるが、果たして。

ただ麻生氏が“ポスト岸田”の上川氏をこうも持ち上げたことは、「次は岸田を応援しない」との意思表示とも見て取れ、“岸田の乱”以降、ここまで両者との溝が深まったかと感じざるを得なかった。

(JNN世論調査でその他の項目は以下の通り)

●政府の能登半島地震の対応について「評価する」が44%、「評価しない」が43%。
●今後、賃金があがると思うか聞いたところ、「賃金があがる」が35%、「賃金はあがらない」が56%。
●東京地検が安倍派幹部らの立件を見送ったことについて、「納得する」が11%、「納得しない」が78%。
●自民の「中間とりまとめ」について、政治の信頼回復に「つながる」が26%、「つながらない」が67%。
●「連座制」について「導入すべき」が88%、「導入すべきではない」が5%。
●衆院の解散・総選挙の時期について、「出来るだけ早く」が26%、「9月の総裁選より前」が27%、「9月の総裁選の後」が12%、「任期満了まで行う必要がない」が29%。

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。
2月3日(土)、4日(日)に全国18歳以上の男女2572人〔固定1021人、携帯1551人〕に調査を行い、そのうち47.4%にあたる1220人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話614人、携帯606人でした。

インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。
より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。