加速する日本の防衛力強化

攻撃を受けて基地が使用不能となった事を想定し、離島の民間空港に自衛隊の戦闘機が姿を現した。

住民
「怖いですよ。戦争が始まったら全滅でしょ。こういうところは」
「音がすごかった。自衛手段で必要かなと思う」

沖合の輸送艦から海岸を目指す陸上自衛隊の水陸両用車。島の静寂を破るように大規模な離島奪還訓練が続いている。上空からはパラシュートで武装隊員が降下する。

南西諸島には次々に基地が建設されている。

鹿児島県西之表市の馬毛島。アメリカ軍の空母艦載機の訓練滑走路や自衛隊の護衛艦用の埠頭、戦争を継続する為の燃料庫などの建設が始まった。1兆円近い予算が注ぎ込まれ、4年後には島全体が巨大な基地に変身する。

そして、長崎県佐世保市では、最新式の小銃を携帯してアーケードを水陸起動団が行進した。在日アメリカ軍も参加した。

市民
「実際に持っている装備を市民が見るのは良いと思う」
「武器では平和は守れないと思うんですよ」

基地を見下ろす海軍墓地。太平洋戦争で海底に沈んだままの軍艦の慰霊碑が並ぶ。イージス艦「金剛」「霧島」「妙高」そして、空母化された「加賀」の先代もここに眠っている。

遺骨も遺品もない。戦没者17万6000人の名簿が残っているだけだ。

加賀会代表 井上秀敏氏
「遺骨が海の中にある。ここに何か分かるものがあるでしょうかとお見えになる人がいる」

空母「加賀」と乗組員はハワイ諸島沖水深5400メートルに沈んだままだ。

加賀会代表 井上秀敏氏
「抑止力として持っている分には構わないが、攻撃用になった場合大変なことになる。二度とこんな慰霊碑が建たないようにしてほしい」

政府は地対艦ミサイルの射程200キロを大幅に伸ばす計画だ。 石垣島に射程1000キロのミサイルを配備すれば、中国沿岸部がすっぽり入る。

そして1月18日、アメリカとの間である契約が交わされた。ピンポイントで敵基地攻撃が可能な巡航ミサイル・トマホーク400発をおよそ1700億円で購入する。射程は1600キロ。イージス艦や潜水艦に搭載すれば射程はさらに拡大する。

岸田政権が押し進める反撃能力の強化は今、際限のない“軍拡競争”の様相を呈している。