“政権のレガシーに”岸田総理の模索

安倍政権でもできなかった憲法改正だが、“リベラルな宏池会(岸田派)政権のほうが逆に実現しやすいのではないか”、かねてから自民党内ではこんな見方が出ていた。
実際、政府関係者によると岸田総理は「憲法改正はやらないといけない。9条も変えないと自衛隊の人たちがかわいそうだ」と話しているという。別の総理周辺も「政権のレガシー(遺産)として総理は憲法改正を考えている」と証言している。

憲法改正を党是とする自民党は、優先すべき4項目として「自衛隊の明記」「緊急事態条項」「参議院の合区の解消」「教育環境の充実」を掲げている。

このうち、大規模災害などの緊急時に国会議員の任期を延長するなど、国会や内閣の権限を強化する「緊急事態条項」については、衆院の憲法審査会でも議論が進められてきた。与党・公明党の賛同も得られやすいとして、4項目のうち、「緊急事態条項」だけでも先行して改正する案も浮上している。

去年の臨時国会における衆議院の憲法審査会では、自民党側から「緊急事態における国会機能維持のために議員任期を延長する憲法改正について、来年の通常国会で、具体的な条文の起草作業を行う機関を設け、起草作業のステージに入ることを提案する」と言及があった。

ただ、スケジュール的には簡単ではない。憲法改正の手続きを定めた国民投票法によると、国民投票は「憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行われる」という。つまり、6月を会期末とする今国会中に発議しないと総裁任期までの改正は不可能となる。

また、参議院は衆議院と比べ議論が進んでおらず、去年の臨時国会では実質審議は2回しか行われていない。

日本維新の会・馬場伸幸代表(1月30日)
「時間的にはもう既にタイムオーバーになっているような状況の中でですね、総裁総理はそうおっしゃいますが、本当に自民党自体がそういう考え方になっているのかということを考えれば甚だ疑問を持たざるを得ない」