観光需要で宿泊塞いでしまうと…復興に懸念も

金沢大学 井出明教授
「今、金沢市内で宿泊できる手ごろな価格帯の宿は、大きなホテルでもピンポイントで何日かに1回1泊空いている状況で、そこを観光需要でふさいでしまった場合、被災地支援にどのくらい影響が出るのかまだわからない」

井出明教授

観光を支える大きな要素の一つ、「宿泊」が金沢では足りていない状況だと指摘。

実際に支援に入ろうとした団体が、白山市まで行かないと長期滞在できる場所が見つからなかったこともあると言い、能登半島地震の復興規模が大きい現状で、遠方からの支援者に宿がない状況は、望ましい状態ではないといいます。

2次避難者と観光客 背反する存在が金沢に

さらに誘客を呼びかけても、心から楽しんでもらえる状況にあるとは限らないといいます。

金沢大学 井出明教授
被災者の2次避難が来た時にどうなるかという問題があって。楽しそうな観光客を見たことによる様々な葛藤があるだろうから、その辺りの折り合いをどうつけていいのかは観光客も被災者もわからない。気にしないで楽しんでくれと誰が責任を持って言えるのかというと、誰も言えない

「観光」は日常のフラストレーションを発散し、開放感を楽しむ場面として位置づけられますが、こうした意味合いで楽しむことは難しいところもありそうです。

観光産業を支えるために 求められる地元の力

長期化するおそれのある観光産業への影響。どのように支えていけばいいのか。

井出教授は、地元や近県の人については「宿泊」を気にせず日帰りで観光するマイクロツーリズムの展開を推奨します。地元で消費して、地元の経済を支えるという意識を持ち、節度を持って楽しむことが重要だといいます。

一方、県外の人は、ひとまずは物販やふるさと納税などを活用するという手が考えられるということです。
復旧、復興の進み具合によっては、理想の観光のあり方がまた変わってくるのでしょうが、新幹線の延伸を控える中観光への施策も今後重要になってきそうです。