「早くトイレだけでも…」全国から集結“トイレトレーラー”11日目も約6万戸が断水

地震発生から11日目、今も断水が被災地を苦しめています。
記者
「地震発生から10日が経っても未だ能登の数多くの地域では水が出ません。七尾市でも水は全く出ない状況です」
石川県内では11日午後2時現在で6万戸近くが断水しています。

住民
「トイレが普通にできないのが、すごく嫌だよね。一刻も早くトイレだけでもきちんとできるようになったらいい」
被災地に全国から集められているものがあります。それがトイレトレーラーです。
避難所の運営者
「山梨県の北杜市から、善意ですぐに設置していただいた」

全国の自治体が保有しているトイレトレーラーが続々と現地入り。1250回、用を足すことができ、給水などをすることで繰り返し利用できるといいます。さらに停電地域では…

“トイレトレーラー”派遣を調整 助けあいジャパン矢野忠義さん
「ソーラーシステムを積んでいて、昼間に蓄電します。夜、明るくすることで犯罪を防止する」
被災直後の避難所のトイレの状況について、避難者はこう語ります。

避難者
「見たらがく然とするような状況。(便器から)溢れている。一番辛かったのはトイレ。しんどくて、しんどくて我慢した」
現在、約15台のトイレトレーラーが稼働しているといいますが…
“トイレトレーラー”派遣を調整 助けあいジャパン矢野忠義さん
「全然足りてないです。今日も260人の避難所でトイレが3個、『体調がおかしくなっているので何とか(派遣を)』という相談を受けた。50人に1基のトイレが必要という国際的な基準もある。たぶん100台以上必要なのでは」
「あなどってはいけない」被災地のトイレ 災害関連死の懸念も
なぜトイレの支援が重要なのか、それは命にも関わる問題だからです。
災害関連死に詳しい 関西大学 奥村与志弘教授
「トイレの問題をあなどってはいけないのは、(災害)関連死の死亡原因に絡んでくる特徴がある」
奥村教授が作成した災害関連死の原因をたどる図。

奥村教授
「トイレの環境が悪くなると、どうしても(トイレに)行きたくなくなりますよね。できるだけトイレに行く回数を減らして我慢しようとなる。便を出す回数が減るから便秘気味になる、水分摂取を控える方も出てくる。脱水症状になると口腔内の細菌が増えたり、誤えん性肺炎やエコノミークラス症候群に発展していきかねない。(災害)関連死を出さないようにすべきことは高度な医療行為ではない。トイレや雑魚寝、食事などの問題」
今回の地震による災害関連死はこれまで珠洲市と能登町で8人確認されています。
記者
「石川県から高齢福祉施設の利用者を乗せた自衛隊のヘリが県営名古屋空港に到着しました」
リスクが高い高齢者をより良い環境に移すことが、災害関連死を防ぐカギになると奥村教授はいいますが…
奥村教授
「広域避難利用できるように(避難先に)行こうと思える環境を整えないといけない。多くの被災者は(他県に)行きたくないと思う。地元を離れるのは難しい。東日本大震災の時も動かなかった。福島では故郷を離れて、たくさん(災害)関連死で亡くなっている。動かすもリスク、動かないにもリスク。どっちも犠牲が出る可能性があるので難しい」