元旦のニューイヤー駅伝 in ぐんま(第68回全日本実業団対抗駅伝競走大会。群馬県庁発着の7区間100km)の区間エントリーが、12月30日の監督会議後に発表された。
今大会は兄弟選手にも注目が集まっている。田村和希(28、住友電工)、田村友佑(25、黒崎播磨)、田村友伸(22、黒崎播磨)の3兄弟は、初めて全員がニューイヤー駅伝を走る。和希と友佑は3区で直接対決する。
10000m日本歴代2位記録を持つ太田智樹(26、トヨタ自動車)は2区、弟の太田直希(24、ヤクルト)は1区に出場。東京五輪マラソン代表だった服部勇馬(30、トヨタ自動車)は7区、弟の服部弾馬(28、NTT西日本)は1区にエントリーされた。太田兄弟の1、2区連続区間賞、服部兄弟のスターター&アンカー区間賞の可能性がある。
そして双子の設楽啓太・悠太兄弟は、弟の悠太が2区、啓太が3区で実業団入り後初の兄弟タスキリレーを行う。
「兄との直接対決に勝って区間賞を」(田村友佑)
兄弟対決が実現するのは3区(15.4km)の田村兄弟だ。3年前の21年大会も兄弟は3区(当時13.6km)で対決し、兄の和希が37分39秒の区間新で区間1位。弟の友佑は39分07秒で区間20位。その対決を友佑は鮮明に覚えている。
「(22秒)先に中継所を出たのですが、中間点くらいで追いつかれ、すぐに先行されてしまいました。1kmも付けなかったです。もっと走れる力があったと思いますが、10000mの27分台もまだ出していませんでしたし、経験不足もあったのだと思います。駅伝を走る力が不足していました」
1カ月前に和希は、10000mで27分28秒92(日本選手権3位)の日本歴代3位をマークしていた。和希の力に友佑は圧倒された。だが友佑も21年に27分48秒42を出し、翌22年のニューイヤー駅伝3区では区間4位ではあったが、37分21秒と兄が前年に出した区間記録を上回った。友佑は故障の影響で3区選手の付き添いを行っていた和希から、「これだけ追い風が吹いていたら、自分の区間記録は抜けるぞ」と声をかけられたという。
そして今回、2度目の直接対決をする。友佑は11月に10000mで27分43秒11まで自己記録を伸ばし、12月10日の日本選手権10000mは27分46秒99で8位。記録も順位も兄の3年前には及ばないが、「ぎりぎり11月に日本選手権の参加標準記録を狙いに行ったことで、日本選手権は完全な調整ができませんでした。27分30秒切りは狙う力がある」と、3年前の兄と同等レベルまで来ていると考えている。年齢も3年前の兄と同じ25歳になった。
「日本選手権のリベンジをしたいと思っています。塩尻さん(日本選手権1位の塩尻和也・富士通)、相澤さん(日本選手権3位の相澤晃・旭化成)に食い下がって、走るからには区間賞が目標です」
末弟の友伸も6区(11.2km)に出場する。前回は友伸が初出場したが、和希が出られなかった。兄弟でも名字が違っていることもあるので正確なデータは調べられないが、兄弟3人がそろってニューイヤー駅伝に出場するのは初めてかもしれない。
黒崎播磨は4区(7.8)kmのシトニック・キプロノ(22)が外国勢の中でも上位が期待でき、5区(15.8km)の福谷颯太(23)にブレイクの兆しがある。友伸の走りがチームの順位を左右する。
「友伸が追い上げられるにしても、追い上げる役割になっても、その差(大丈夫と思える差)を2区の細谷(恭平・28)さんや自分で稼ぎたい」と友佑。兄弟の直接対決も、助け合いも、ニューイヤー駅伝の田村3兄弟は見せてくれる。