■元警視総監語る「選挙の警備が最も難しい」

安倍元総理が撃たれた現場から、約3キロ離れた住宅街のマンションに住んでいた、山上容疑者。

日下部キャスター
「山上容疑者のマンションの周りには、多くのメディアが詰めかけています。事件現場まで、ここからかなり近いんですね」

地元の県立高校を卒業し、2002年から3年間、“任期付自衛官”として海上自衛隊に勤務していたことが明らかになっている。任期付自衛官は、自衛官の代替要員として、期限付きで採用される。銃の構造や扱い方、実弾射撃の訓練も受けるという。

現場で押収された銃は手製で「春ごろから作り始めた」と供述している山上容疑者。

記者
「被疑者の住むマンションに、爆発物処理班が危険物を確認しに入りました」

事件当日に行われた家宅捜索でも、金属と木製の部品で出来た手製の銃とみられるものが数丁、押収されている。

山上容疑者の供述 
「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある、安倍元総理を狙って撃った。安倍元総理が奈良に来ると知り、きょう(8日)犯行を決意した」

事件前日に急遽決まった安倍元総理の演説。山上容疑者は、その日程をホームページで確認し、犯行に及んだという。


警備態勢に不備は無かったのか。元警視総監の池田克彦氏に聞いた。

日下部キャスター
「急遽(場所が)変更になった場合の警備の難しさはどういうところにありますか?」

池田克彦元警視総監
「場所の特性を、どこまで把握できるかというところですね。どこのポイントに人を配置するかは、実際の場所を見て決めますので。そういうのが急遽の場合、完全に出来るかどうかは、難しいところだと思います」

過去に、サミットなどの国際会議で大規模な警備を指揮してきた池田氏だが、選挙の警備が最も難しいと語る。

池田元警視総監
「政治家の皆さんは、どうしても一般国民の皆さんと接しようとしますし、やはり360度聴衆に囲まれているというのは守りづらいというのが、率直な感想ですね」


今回、安倍元総理の背後から銃弾を放った、山上容疑者。

1発目の銃声が聞こえた直後に、警護担当者が急いで安倍元総理を守ろうとしたが、間に合わず、2発目の銃弾が命中した。

記者
「1発目と2発目の間に、何とか要人を守ることは?」

池田元警視総監
「防弾コートなどを元総理に被せるとかができればいいが、近くに警護員がいないですね。恐らく、威圧的にならないようにという配慮をしたのだろうと思います」