新コースのレース展開への影響は?

コース全体は前回までと同じだが、区間距離は以下のように変更される。

1区(12.3km)
2区(8.3km) →21.9km
3区(13.6km)→15.4km
4区(22.4km)→7.8km
5区(15.8km)
6区(11.9km)→11.2km
7区(15.7km)→15.6km

最長区間が前回までの4区から2区になる。距離は大きく変わらないが、終盤3kmの向かい風がなくなることで、前回までより差が付きにくくなる。1区で差が付かなければ、2区もいくつかの集団で進む展開が予想できる。指導者の何人かが、「2区よりも3区で差が付くのではないか」という見方を話していた。2区は“つなぎ”と位置付け、大きく負けないようにする。続く3区で一気に抜け出すレースプランで臨むチームも多くなるだろう。

Hondaや三菱重工、黒崎播磨といったチームは、2区にマラソン選手を起用し、3区にスピードランナーを配置するメンバー構成だ。そういったチームが戦いやすくなる。

それに対しトヨタ自動車のように、ダブルエースがトラックのトップ選手というチームは、2区から勝負に出られる。

インターナショナル区間が序盤の2区から、中盤の4区に変更になることも、レース展開に影響しそうだ。

前回までの2区は走者間の差が小さく、アフリカ選手が集団でどんどんスピードを上げて走っていた。だが4区となると、走者間の距離が2区より大きくなる。単独走になるケースが増えると、2区ほどスピードを上げられない可能性がある。トーエネックの松浦忠明監督は「ウチのように日本人選手だけで戦うチームにはプラス材料」という。

2区であるが実は、08年までと同じコースに戻る。当時の区間記録は現富士通監督の高橋健一(富士通)が01年に出した1時間01分36秒。これはハーフマラソン(21.0975km)に換算すると59分21秒になる。駅伝は片道コースで追い風となればすごい記録が出るのだが、ハーフマラソン日本記録の1時間00分00秒を大きく上回るスピードだ。

当時は難攻不落の記録と思われたが、現在は厚底シューズの時代になり、長距離種目の日本記録はどんどん塗り替えられている。コース変更1年目から高橋の記録が更新されることを期待したい。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)