「青葉さん、アニメが好きで仕事にしようとしたのは、息子も同じじゃないですか」
――「私は、心のバランスを失い、服薬やカウンセリングを受けました」そう話したのは、男性社員(当時32)を亡くした母親だった。
夫は死に直面することが辛いようで、裁判に参加することができませんでした。この裁判の証拠などを夫に見せることは、ショックを受けてしまうのでできません。息子をなくしてうまく生きることができなくなってしまった私を、(被害者の)弟2人がずっと支えてくれていますが、2人も辛い思いをしているはずです。
息子はもう返ってきませんし、殺されたという事実しか残らないのに、被告人の人権を守るための裁判に何の意味があるのかと思っていました。しかし、こうして意見を述べることで、亡くなった人にも、生きていた人生があったことを知ってほしい。小さな島からアニメのことを勉強して悪戦苦闘して夢をかなえた、息子の人生を知ってほしい。
青葉真司さん。あなたの生まれや育ちについても、この裁判で聞きました。アニメが好きでそれを仕事にしようとしたのは、息子も同じじゃないですか。息子は、アニメなんて何もわからない漁師の家の長男で、日中は漁師の仕事しなきゃいけなくて、夜仕事が終わってから勉強して...青葉さん。あなたが殺したのは、そういう人です。息子は、何で殺されなければならなかったんですか。アニメが好きで、アニメーターを目指したのが悪いんですか。