昨年の東京五輪はチーム最年少(当時19歳)で代表入りを果たしたバレーボール男子日本代表の次世代エース・髙橋藍(20)。2024年パリ五輪でのメダル獲得へ「スパイクを磨くため」に向かった武者修行で、髙橋はまさかのリベロ起用に。イタリアでの挑戦を取材した。

髙橋:
(2024年の)パリ五輪に向けて戦っていくには、イタリアに挑戦しようって。

天文学の父、ガリレオ・ガリレイも暮らしていた、パドヴァ。
イタリア北部のこの街で、昨年12月、高橋藍は新たな挑戦を始めた。

街を歩く
舞台は、プロバレーボールリーグ、セリエA。各国のトッププレイヤーがしのぎを削る、世界最高峰のプロリーグだ。髙橋はパッラヴォーロ・パドヴァに所属。

髙橋:
自分自身がもっと海外と対戦して経験を積んでいれば、やっぱり「メダルにもう少し近づけたのかな」っていう自分なりの口惜しさがあったので、イタリアでプレーすることが自分にとってはすごくプラスになるんじゃないかと思って。

イタリアに挑戦
武者修行の一番の狙いは、アタッカーとしてスパイクを磨くことだった。
2021年12月9日、セリエAデビュー戦。

実況「ラン!タカハシ!」

最初のスパイクを決めてみせた。
ところが、その後は主に守備での貢献を求められ、やがて出場機会が減っていった。

ついにはチームの監督から、攻撃に参加出来ない守備専門のポジション、リベロでの起用を告げられる。その理由について、指揮官、ヤコポ・クッティーニ監督は。

ヤコポ・クッティー二監督(パドヴァ)
監督:
チームのスパイカーと比べると髙橋にはフィジカルの強さと経験が足りない。リベロは彼のポジティブな性格にとても合っている。このポジションは彼のキャリアの中でもひとつの切り札になるのではないかと思っているよ。

リベロを務めるのは、中学生以来だった。

リベロ起用される髙橋
髙橋:
最初は「リベロでいってくれないか」と監督に言われた時は複雑な気持ちで。「スパイカー」として世界に学びに来ているので。でも少し気持ちを変えて、リベロってポジションっていうのは常に声を出してチームを鼓舞していくポジションなので、日本代表に帰ってこれから自分自身が日本代表の軸となっていく中で本当に必要になってくるスキルだと思っているので。


この経験は、必ず今後に活きてくる。そう考え、髙橋は前を向いた。
レシーブでチームに貢献し、声を出してチームを盛り上げる。
そのひたむきな姿に観客が心を奪われるまで、それほど時間は掛からなかった。