岩手県宮古市のボールペンアーティスト、盛合崇さんを紹介します。ボールペンだけで描く作品の魅力や創作活動の原点に迫ります。


ボールペンで緻密に描かれた作品。これらを描いたのは宮古市在住のボールペンアーティスト・盛合崇さんです。
盛合さんは自宅の一室をアトリエ兼ギャラリーにして活動しています。

盛合さんは独学で絵を描き、頭の中にある自分の世界を緻密な描き込みによって表現しています。
(盛合崇さん)
「はじめは油絵で20代の頃は絵を描いていたんですけど、震災の時に自宅を流されまして、全ての道具を失った時に、ボールペンと画用紙を手に入れたので描き始めました」

こちらは半年以上かけ、10本以上のボールペンを使って描かれた作品です。
細部まで描写されていて、丸の一つ一つが「エネルギー」を表現しています。
海の底にエネルギーを取りにいくというイメージで描いたということです。

こちらは宮古市で材料から作られている手漉き和紙に描かれた龍と花。
草木の中を駆けるオリジナルの個性的な龍が描かれた、世界に一枚だけの作品です。
作品は普段私たちが使うものよりも細いボールペンを使って制作されています。こちらは特注のものではなく、コンビニなどで手に入るものを使っているそうです。

当初は油絵を専門としていた盛合さん。こちらは21歳のころ生まれて初めて描いた油絵です。
津波に飲まれ、はがれている部分はありますが、手元に戻ってきました。残っている油絵は2点だけですが、絵を始めるきっかけとなった原点の作品です。
盛合さんの作品には龍や草花が多く描かれていますがその理由とは。
(盛合さん)
「生命力を描きたいんですよね。なんでそう思うかというと、津波の時に一面が灰色になった中、雑草が生えてきて花がすごくきれいで、植物の力、生きる力のすごさに感動して、そこから生命力を表現した絵を描きたいと思って描いてます」
ボールペンで描く作品の魅力とは―。
「1本1本の線に責任を持って書くところが緊張感があって、ボールペンは消せないものですし、一発描きに近いのと、自分の調子を見ながら描いてそこに力を感じるというか、表現の仕方が面白いんじゃないかなと思って描き始めました」

色づけをしていない作品が多くあるのも特徴です。見ている人のイメージで色をつけて楽しんでほしいという思いからです。
