頼れる“同士”とともに アピアランスケアの普及を
がん患者をはじめ、それぞれの症状に応じたケアやアドバイスを行うことができる美容師の数が足りないこと、その美容師と患者を繋ぐ仕組みが十分ではないと考えた斎藤さん。

去年、新潟県内でアピアランスケアに取り組んでいる美容室を紹介するサイトを開設して一緒に活動する仲間を探していました。
斎藤愛さん(47)
「そもそも自分が病気になって初めて調べる。で、アピアランスという言葉を知る。自分が病気になった時に『アピアランスがある』って思い出せるぐらいにならないと…」

この日は初めて実施するセミナーの打ち合わせ。
一緒に準備を進めるのは、がん治療を経験した斎藤さんの義理の妹の幼馴染で長岡市の美容師・島村剛さん(42)。そして去年、乳がんが発覚したがんサバイバーの燕市の美容師・阿部友美さん(35)です。
2人とも斎藤さんの思いに共感した「アピアランス美容サポート新潟」のメンバーで、これまで1人で活動してきた斎藤さんにとって頼もしい「同志」です。

「ちょっと楽しめる場があってもいいかな」と島村さんが提案したのは、セミナーの参加者同士による医療用ウイッグの装着体験。実は医療用ウイッグを装着した経験がある美容師は多くはないそうです。
「やったことあるのとないのでは、患者さんに伝えられるか全然違うと思います。まずネットもどうやって被るというところから…」「知らないもんね」
斎藤さんたちの活動の目的には、活動を共にする仲間を増やすことやがん患者に対する医療用ウイッグなどの購入費補助制度の普及などがあります。しかし、まず一番に掲げる目標はアピアランスケアそのものを知ってもらうことです。

阿部友美さん
「一人でも多く『アピアランス』をやってくれる美容師が増えるのを願っているので…」
斎藤愛さん
「知りたいけど勉強できる場所がないので、共有と不安を無くす場を私たちが作れたらなと思っています」