地上侵攻開始と宣言できない理由は“人質の救出”

井上貴博キャスター:
現地の状況を中継です。ガザ地区から約70キロ離れているイスラエルのテルアビブに、記者の岡村さんがいます。

岡村佐枝子 記者:
こちらは、人質になった人たちの家族や支援者らが集会を行う広場の前に来ています。
人質になった人たちの顔写真や寄せ書きが書かれた壁があって、市民の人たちが時折、足を止めて、顔写真をずっと眺めている。そんな状況です。
イスラエル軍がガザで地上作戦を続けている今の状況について、専門家の間では本格的な地上侵攻には至っていないという見方が多く、このまま徐々に作戦を拡大していくのではないかとの憶測も広がっています。
イスラエルが地上侵攻開始と宣言できない理由の一つが、ハマスによってガザに連れ去られた人質の救出です。
人質の親族や友人たちに話を聞いていますと、7日の戦闘開始直後は、ハマスに勝つことが人質の救出につながる。つまり、戦闘もやむなしとの意見も多く聞かれました。

しかし3週間以上経っても人質交渉などの状況が進展せず、苛立ちを見せる人もいて、人質の安全確保を優先し、地上侵攻を延期すべきとの声が大きくなっています。
また、イスラエルは大規模な侵攻に踏み切ることで、ガザでのさらなる死者の増加や人道状況の悪化により、国際的な非難が高まることも懸念しています。

イスラエルは現時点では地上作戦を拡大しつつ、国際社会の批判もかわしながら、人質交渉も続ける道を選んだわけですが、ハマスの壊滅という目的は変わらないと強調していて、戦闘がどのように拡大、深刻化していくのか予断を許しません。