若新准教授「振り回してきた大国には責任がある」

井上キャスター:
ここで、ある映像をご覧いただきます。ガザはどんな場所なのか、なかなか見ることができない部分なのですが、2021年の停戦直後の様子です。

須賀川さん。行ってみて、どんなことを感じたのかという部分をお願いします。

須賀川記者:
エレツ検問所は非常に高いバリケードで覆われていて、鉄のゲートを何回も通らなくてはいけません。フェンスや防護壁が、ガザを完全に360度囲っているので、まずなかなか入れない。

井上キャスター:
ちなみに今は、ここ(エレツ検問所)は破壊されて入れない?

須賀川記者:
入れなくなっています。

実際に中に入ってみると、停戦直後なので人々は出てきていますけれども、極めて壊滅的な破壊が確認できます。人口が半分ぐらい子どもたちなので、子どもの数がとにかく多いです。

一方で、このケバブ屋さんは空爆現場のすぐ隣ですが、こうやって日常も続いています。

ニュース映像でガザの瓦礫ばかりを見る方もすごく多いと思いますが、「こういった一般の普通の日常があるんだよ。これが今どんどん失われていっているんだよ」というのは、多くの視聴者の方にわかっていただきたいと思います。

ホランキャスター:
若新さんはどうでしょう?映像など見ながら今、思うことがあれば教えてください。

若新雄純 慶応大学特任准教授:
この問題って、今起きていることだけ見ても捉えきれないじゃないですか。結局我々は大国の一つという、安全なVIP席からこの問題を遠巻きにのぞいているに過ぎませんが、この問題は歴史的に大国の多くが振り回してきて、無責任なところもありますよね。

僕らはリアルな感覚というのは知り得ません。(須賀川さんは)実際に直接市民の方々とお話されていて、一般世論というのはあると思うんですけど、そこだけでは捉えきれない「あっ、こういう声もあるんだ。この問題をこういうふうに言ってる人もいるんだ」というのがあれば、ぜひご紹介していただきたいです。

須賀川記者:
なるほど。そういう意味でいうと、イスラエルは非常に奥深い国で、いろいろな考えを持っている人たちがいます。

宗教も民族もいろいろいますから、今、国が発信しているような「ハマスを徹底的に殲滅するんだ」という声だけではなく、本当に心から停戦を求めている人たちもいる。停戦を求めていいのかどうなのか、思い悩んでいる人たちもいる。

そういった国だということは、何となく前提として考えていきたいなと。

若新雄純 慶応大学特任准教授:
単純に攻めてきたんだからやり返して潰すだけではなくて、そもそもは、なんでこんなことになってしまったのか。その根本の憎しみ合うところから消していきたいな、って気持ちも強いということですよね。

須賀川記者:
そういう人たちも必ずいるということです。

井上キャスター:
そのために、やはり中立な第三国が入ってということをしないと、感情でぶれてしまうということですよね。

須賀川記者:
当事者同士に任せると、どうしてもこれは終わらない戦いですね。

若新雄純 慶応大学特任准教授:
ずっと振り回してきた大国に、絶対責任はありますよね。

須賀川記者:
間違いないです。