故郷を追われる人たちも 生き残りをかけた戦い

記者
「いまは特に何もない海が広がっていますが、ここには大きなサンゴの環礁がありまして、水上都市を作るというプロジェクトがまもなく始まるんです」

環礁に囲まれた海の上に、およそ5000戸の住宅を作る計画。完成すれば、世界初の“海に浮かぶ都市”です。

でも、一体どうやって?

すでに建てられたモデルハウスを特別に見せてもらいました。

記者
「陸地に建っている家と同じぐらいの、スペースもそうですし、まったく揺れも感じないですし、ここが海の上にいるんだということを忘れてしまう感じです」

▼海底に設置する伸縮可能な支柱が家を支え、▼補強工事を施した環礁が“防波堤のような役割”を果たしてくれるというのです。

開発責任者 イブラヒム・リヤズさん
「どんなに海が高くても(支柱は)3メートルくらいまで上がります。このような支柱が(海底に)何本かあり、潮の満ち引きで街を上下させます。沈むことはありません」

太陽光を使った発電システムや、海水を利用した空調設備も導入。CO2排出量をおさえ、海の生態系を保護することにもつながります。

オランダの企業と共同開発するこのプロジェクトは来月から工事が始まり、早ければ2027年に完了する見込みです。

開発責任者 イブラヒム・リヤズさん
「モルディブが環境を損なわず自然と共存するための解決策を提供することは、とても重要です。“共存可能”というモデルケースを全世界に示すことができます。私たちはイノベーションで生き残るのです」

海面上昇などで、“2050年までに世界の12億人が本来の居住地に住めなくなる”と予測されています。

モルディブが直面する危機は、同じ島国の日本にとっても、決して遠い先の話ではないのです。